141104
内覧会に参加。冒頭、館長のご挨拶の後、学芸員の萩原敦子さんから40分ほど、主要作品の解説をいただいた。
構成は、
I 序章:形而上絵画の発見
II 古典主義への回帰
III ネオバロックの時代 - 「最良」の画家としてのキリコ
IV 再生ー新形而上絵画
やはりキリコらしいと言えば、I及びIV以降の作品ではなかろうか。古典主義へ回帰した時の作品は、あまり馴染みのないせいもあるが、いわゆる「へたうま」的作品が混在しているように思えた。
🔼キリコには「謎めいた」とか「不安にさせる」が枕詞になるほど、ひんぱんに表現として登場する。明暗をくっきり取り、部分的に具体性・写実性に凝り、遠近法的表現には消失点を敢えてずらすなどの手法が見て取れる。せっかく独自の新境地を拓きながら、古典主義に関心を移したあたりから、迷いが生じて「らしさ」を徐々に失っていくのがよく分かる。
やがて、原点に回帰していくという、まさにドラマチックな画家人生を歩んだ画家と言えるだろう。そういう意味で言うと、やはりIV章の作品群が一番見ごたえがすると感じた。🔼この作品も、一見してキリコと分かる代表作の一つだろう。
これだけごっそりキリコの作品が一挙に見られる機会はこれからもそうはないだろう。およそ8割が日本初公開というから、どれだけ貴重な展覧会かの想像がつくだろう。更に約100点のうち、ほぼ半分が油彩画という豪華さ。
今回の内覧会では、一切撮影禁止という、内覧会としては珍しい措置が取られた。