ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「嗤う分身」

140325 原題:THE DUBBLE 英 93分 昨年の第26回東京国際映画祭参加作品。原作はドストエフスキーの「二重人格」[監]リチャード・アイオアディ('77 英国)

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原作が原作だからだろう、時代も舞台もなんとなく無国籍風に作られている。劇中歌にいきなり「上を向いて歩こう」が出てきたのにはびっくり。その後も、ブルー・コメッツの「赤坂の雨」、「草原の輝き」、「ブルー・シャトー」など全部で5曲ほど歌謡曲がそのまま流れるが、どういう意図か不明。たまたま監督が好きだったとか。或いはあえて無国籍な雰囲気作りの一つの仕掛けか。

原作は読んでいない。内向的性格で、何をやらせても要領が悪く、当然ながら彼女もいない地味な生活を淡々と送っていたサイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)の勤務先に突然、自分と瓜二つで、名前もジェームス・サイモンと名乗る男が現れる。

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こっちは正反対に、要領も愛想もよくいかにも人好きのする印象で、ますますサイモンの居場所がなくなっていく。せっかく思いのたけが通じ始めようとしていたハナ(ミア・ワシコウスカ、なんと連続で見てしまった)からも胡乱な目で見られ、まるで自分の人生のすべてをジェームスに奪われると感じたサイモン、とうとう行き場をなくし、選んだ道は・・・・。

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⬆︎「裏窓」を思わせる場面も。覗く先には彼女の部屋が大写しに

同じ原作の映画化は1996年にロマン・ポランスキー監督が、キャストにジョン・トラボルタイザベル・アジャーニを迎えて作りかかっていたらしいが、監督とトラボルタが解釈について半目し合い、ついに企画が流れたことがあったとか。

昨年見たジェイク・ギレンホール主演の「複製された男」を彷彿とさせる作品。

#25 画像はALLCINEMA on lineから