150425 原題も:MAPS TO THE STARS 加・米・独・仏 [監]デビッド・クローネンバーグ(72歳、カナダ人「危険なメソッド」、「コズモポリス」)この監督、母国カナダ、それにイギリス以外で初めて撮影した作品とか。ほとんどがL.A.市内とビヴァリーヒルズで撮影された。
ハリウッドを舞台にセレブ一家に起きるある事件と、落ち目の女優、ハヴァナ(ジュリアン・ムーア)を巻き込むある事件がどこかで交錯する群像悲劇。終盤まで観客をまどわし続け、土壇場で合点を行かせる手法は、いかにもクローネンバーグだ。観客がとまどえば戸惑うほど、ドーパミンが出るタイプなのだろう。
⬆︎ハリウッドのWALK OF FAMEの場面。出演者の中では、ジョン・キューザックとジュリンア・ムーアは既に仲間入りしている。
ハヴァナを演じるジュリン・ムーアは、これでアカデミー主演女優賞を取ったほどだから、その体当たり演技には恐れ入るしかない。果たして原作や脚本がどうなっていたか、あるいは監督の演技指導や要求はどうだったのか知らないが、あそこまでの徹底ぶりは、さすがのハリウッド女優魂である。便器に跨ったまま、会話し、しかも放屁までやってのける(擬音にしろ)あたり、見ている側が戸惑ってしまう。
他にも車上セックスシーンや、ベッドでの複数プレイなどなど。それにしても身体中にそばかすがあったり、意外に脚がゴツゴツしていたり、あまりにもあからさまに描き出す撮影って、ちょっとねぇ〜、ファンだったら引いてしまうだろう。
二つの違う話が交錯する、その重要な”つなぎ役”を演じるミア・ワシコウスカが、またいい。この女優、顔もスタイルもごくありふれていて、どこに魅力があるのだろうと首を傾げたくなるのだが、脇役としては、名演技で、こういう役者が結局長生きすると思わせる。
終盤、雇い主のハヴァナに散々罵倒され、"Sorry, sorry"と謝り続け、ついに我慢が限界に達した時の表情、そしてハヴァナ撲殺で返り血を一身に浴びる場面は息を呑む壮絶さである。
#24 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから。