ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「長い灰色の線」@AmazonPrime

220330 THE LONG GRAY LINE 米 1955 監督:ジョン・フォード

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一人のアイルランド出身の男の半生を描いた実話を基にした作品。内容は単調ですが、ジョン・フォードが見事に彩を加えて見応えある感動的なヒューマンドラマに仕上がっています。愚亭は確か高校生の頃、リアルタイムで見た記憶があるのですが、まったく内容を覚えておりませんでした。

舞台となる陸軍士官学校のウェストポイントで実際撮影されたそうです。ただ、夏休みの期間中でないと、撮影の許可が降りなかったようです。ま、そりゃそうでしょうね。大事なカリキュラムを、いっちゃなんですがハリウッドのために犠牲にはできないということでしょう。

主役マーティ・マーのタイロン・パワーはなかなか好演していますし、いいキャスティングと思いましたが、監督はジョン・ウェインを使いたかったらしいです。しかも相手役、彼の奥さん、メアリーにはやはりご贔屓のモーリン・オハラですよ。典型的なアイリッシュですが、見るからにきつそうで、ちょっとばかしごついイメージを与える女優と思います。

2時間18分と長尺ですが、そういう風に感じさせないのがうまいところなんでしょうね。原作にはない二人の間に長男を誕生させ、しかも生後すぐ亡くなるという悲劇を加え、メアリーに「ここの生徒たちが自分達の息子と思えばいいのよ」と言わせたりしています。

冒頭、士官候補生たちが歌う歌、どこかで聞いたメロディーと思ったら、エルヴィス・プレスリーのヒット曲の一つ、LOVE ME TENDERでした。これの本歌はAURA LEEという南北戦争当時よく歌われた歌とか。女性の名前のようです。

他に士官候補生たちの分列行進がシーンが多く登場、よく知られたジョン・フィリップ・スーザの名曲がいくつも演奏されます。アメリカの良き伝統を印象深く感じる作品でした。

端役ですが、「スパイ大作戦」のピーター・グレイヴスや、「ルート66」のマーティン・ミルナーなど、懐かしい顔ぶれも見つけました。