160313 世の中には、珍しい組み合わせのコラボがいろいろ出現する昨今だが、今日行ったイベントも、そんな一つか。スペイン産最高級生ハム(Jamon Iberico Bellota)とRiojaワインを味わい、歌曲やオペラアリアを楽しんじゃうという試み。
いかにも部類のグルメで、しかも飲酒家(こんな言葉、ないか)を自他共に認める青栁・江口カップルらしい企画だ。よくぞこんな奇天烈な演奏会を思いついたものと、感心しきりである。
なんでも、自ら牧場を営んでみたいというほどの肉好きの二美さん、いつの間にか、自宅に”原木”と称する生ハム用、豚の脚一本を買い込むほどのレベルに。
通販で買い求めたそうだが、以来、ずーっと贔屓にしているこの業者の協力を得て、今回の企画が実現。ただ、キッチン付きで手頃なホールとなると、これまたなかなか探せなかったところへ、すべての条件をクリアしたのが今回の会場、南麻布セントレホールというわけだ。
こじんまりした会場、60〜70ぐらいの収容力。入口が、実に分かりにくいので要注意。中央のピアノは、なんでも作曲家平井康三郎ゆかりの逸品とか。
1部と2部の幕間にグルメタイムを1時間設けて、上記メニューに詳細がある生ハムやチーズ、スペイン産ワインを賞味してもらうという仕掛け。ちなみに、Jamon Iberico Bellotaは、数ある生ハムの中でも最高峰にしか与えられない名称とか。セヴィリャの北西100kmにあるハブーゴ(Jabugo)という村で、どんぐりを食べながら成長する黒豚の脚に限定されていて、出荷量も知れているだけに、高価になるのもムベなるかな。
例のパルマ産生ハムも捨てがたいが、イベリコはそれを凌ぐ、とろけるような味わいで、正直参りました。
開場時間になったので、真っ先にホールへ入ると、準備で大忙しの(株)グルメミートワールド(日光市)のスタッフたちの姿が。手前がその”原木”。すでにかなり削いだので、やせ細ってしまっているが。
手前にカヴァ、奥にリオハ。早く飲みたいが、後1時間ほどは我慢、がまん。
ワインは一人2杯に限定されていて、一杯目はスペインのシャンパーニュと言われるカヴァを、二杯目はリオハの赤、プレディカドール⬇︎をいただいた。私の好きなテンプラリーニョ種のまろやか味は、ハモンにぴったり!
一人二杯限定じゃ、物足りないだろうと思っていたが、昼間で、しかもその後もコンサートが続くことを考えれば、これが適量。
第2部の演目はプログラムに記載がないが、普段、あまり聴けない楽しい歌がずらり。ご夫妻の別の面が知れて面白かった。
開演と同時に例によって二人の軽妙なトークが、会場を和ませる。これが、その辺のお笑い芸人よりよほど面白い!
オリーブと言えば、日本では小豆島ということになっているが、福島にも立派なオリーブがあると、復興支援を訴えるご夫妻。出演者全員が桂冠芸人に。ついでながら、二美さんのコスチューム、自分で黒いレースを取り付けたとの解説。とにかくこの方のひらめきと器用さには、毎度脱帽。
演目の中では、生ハムやワインの産地に合わせて、スペインものを意識的に多めにされたらしいが、いざとなると、ぴったりのものがなかなかなく、選曲に苦労されたとか。カルメンの中からの二重唱は、とりわけ聞き応えたっぷり。特にテノールの青栁さんの大きな声には会場が釣り合わなかったようだ。
後半に歌われた"Granada"も凄かった。蛇足ながら、この歌の作曲家は、スペインに一度も行ったことのないメキシコ人のララという逸話を紹介。愚亭も初めて知った。
二美さん、これまでカルメンを何度も歌っているから、まことに堂に入った演唱で、さんざん会場を沸かせた。耳も目も口も喜ぶ珍しいコンサートは2時間ぴったりの午後4時終了。オツカレサンデシタ!
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