ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

腹一杯ヴェルディ

230601

応援している青栁・江口夫妻が出るというので、荻窪まで行きました。

こういうヴェルディ・オンパレードみたいなプログラムは好みでして、大満足。このお二人以外にも以前から知っている方が多く、コロナのこともあり、どなたもほんとに久しぶりの舞台を楽しませてもらいました。会場、9割ほど埋まっていました。

田島秀美さんはもう相当以前から何度も聞きにいっています。大柄で舞台映えするお姿と迸る高音が持ち味で、今日の演目はいずれも田島さんらしいスケール感たっぷりの役柄でした。

ダチョンこと高田正人さんはもはやかなりの著名人で、歌うことにとどまらず今や多方面で活躍中。2007年から生で何度も聞かせてもらっています。久しぶりにお会いしたら、少しお痩せになっていたのが気になりました。

伴奏をされたピアニスト、経種美和子さん、日声協の合唱団で結構しぼられたんです。可愛らしいお顔から厳しい言葉が出てくるアンバランスさを楽しめましたが。私のフランス語の発音を直されたのが一番の思い出。

さて、江口二美さん、オテッロから「柳の歌」、美しく情感たっぷりに歌われて、Brava!!でした。そして初役のジルダ、これはかなりの冒険だったみたいです。彼女の声の質では、ちょっと手に余ったんじゃないでしょうか。それでも「リゴレット」前半の聞かせどころの一つ、Caro nome(慕わしき御名は)この難曲の技巧的な部分は見事に曲想を捉えて歌われていました。

青栁素晴さんは「清きアイーダ」を危なげなく歌われていました。もう何十回も歌われているはずで、日本語でも歌っています。ラストを伸ばす、延ばす、何もここまでと思うほど細〜くひっぱって消え入るように終わりました。

この人、テノールなんですが、バリトンのような声質で、前半、「運命の力」からの二重唱など、中音域では、どっちがバリトンか分からないほどでした。つまりあまりテノールテノールしていないのがこの人の持ち味って言えるでしょうか。もう亡くなってしまいましたが、イタリアの名テノールジュゼッペ・ジャコミーニを彷彿させるような響きでした。オテッロの息を引き取る直前まで歌い続けるという難しいアリアも深く印象に残る歌いっぷりでした。

主催者 Tokyo ope'lataの代表でもあるバリトン大久保 眞さんが解説をするのですが、これが結構面白く、楽しませてもらいました。超有名オペラばかりですから、ストーリーや役どころについての知識はそれなりにあるので、目新しいことはないのですが、語り口が朴訥というのか、失礼ながら田舎のおじいちゃん風なところが大いに受けましたね。そして物事に頓着しないところも素晴らしい!ちょっとセクハラ?と思わせるほどハラハラさせられもしましたが・・・ま、ああいう方がしゃべると許されちゃう雰囲気ですね。でも、自分でも意識されていたようですが、ちょっと長すぎたかも。

終演後、久しぶりに出演者と交歓できる時間があったのに、同じ地下2階のグランドサロンで練習していたハイルマン先生のメサイアの練習と時間帯がまともにぶつかり、休憩時間も終了時間もまるかぶり、広くもないロビーが押し合いへし合い!楽しみにしていた出演者の撮影もできないまま、帰路に着きました。