160917
所属する地元(蒲田)の合唱団へも、時折姿を見せるテノールのKさんが本格活動をしているのが東京コールフェラインという合唱団。今日は、その31回目の定期演奏会。お目当てはドボルジャークのスタバト・マーテル(「悲しみの聖母」と訳されるが、それならマーテルの後にドロローサをつけてほしい)。
生で聴くのは初めて。確かに震えるような感動を覚える名曲である。特に、合唱が美しい。合唱の、どちらかというと、しなやかで柔らかな味わいの上にSATB、4パートのソリストの名唱が乗っかるという趣向。伴奏はピアノとエレクトーンだが、このSTAGEAという楽器は、一人オーケストラと言えるほどの代物で、かなりの迫力だ。
今日の4人のソリスト、絶妙のバランスで、最後まですこぶる心地よく聴かせてもらえて、大ハッピーである。
ソプラノの村元彩夏さん、初めて聴かせてもらうが、ピュアで、どこまでも高みにいざなってくれるような素敵な高音の響きにはうっとりさせられる。経歴を見ると、宗教曲への出演が突出しているが、オペラにも時折出演されているようだ。要注目。
メゾソプラノの長谷川 忍さんは、これまでなんども聴かせていただいていたが、最近では久しぶりだ。そして、宗教歌では初めてかも知れない。愛くるしいスタイルで、聴衆を魅了してきたが、どちらかといえば、やや軽めな演目がこれまで多かったように見受けられる。華奢で可憐な姿なのに、どこからあのような力強い声が出てくるか不思議なほど。 1月には、またあの楽しい舞台、「千駄ヶ谷スタイル」が再演されるようなので、楽しみにしたい。
楽屋で撮らせていただいた長谷川 忍さん(左)と村元彩夏さん。
男声もまた素晴らしかった!望月哲也さんは定評あるバリバリの、日本オペラ界を代表するようなテノールで、言うことなし。艶やかな高音域には独特の香りがする。
一方、バリトンの加耒 徹さん、今、売り出し中の超人気若手バリトン。望月さんとは対照的な細身で、しかもイケメンとくれば人気が出ない方が不思議。声だけ聞けば、どのような体型だろうと思うほど、太くて逞しい声だ。何度か聴かせてもらっているけど、ビリビリと何かが振動しているような響きを今日初めて感じた。凄い!
指揮をされた新谷俊治マエストロ、現在86歳だから、こうした大曲を振るのは、よほど体力を消耗するだろう。何度かカーテンコールの最中で、楽譜台にわずかに身体が触れ、瞬間グラっとされたので、舞台の上も下も一瞬緊張が走る一幕も。いかにも音楽一筋ながらも、優しい人柄を感じる風貌で、合唱団員からも敬愛されていることだろう。
⬆︎ FBから拝借しました。
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