161220
何人ものソプラノの佐藤さんをすでにお聞きしているが、実はこの方は初めて。もちろんお名前は知ってはいたが、やはり経歴を見ると、海外が長い故に国内での露出が比較的少なく、それで聴く機会がなかったんだろうか。
やや前方の真正面に陣取って、息をのんで第一声を待った。いきなり難曲のアンナ・ボレーナのアリアを持ってくるとは、やはりかなり自信がおありなのだろう。紛れもない本格派スピントで、高音部の力強い響きに、いきなり頭をガーンと殴られたような印象。こりゃ、冒頭からすごいことになったわい。
ドニゼッティの歌曲の3曲目、Ne voglio fà 'na casa(私は家を作りたい)はメゾ・ソプラノのチェチリア・バルトリで繰り返し聞いているが、佐藤さんのうまさは勝るとも劣らない。声の質がバルトリより少し柔らかいかなという違いで、この伝統的なナポリ民謡を堪能した。
得意の演目、「蝶々夫人」からの「ある晴れた日に」はまさにゼッピン!そしてアンコールに、滅多に聴く機会がないだろうからと、敢えて選んでくれたのは蝶々夫人の初演版からPiccolo Iddio、そしてエンデイングまでを演奏。これぞトリハダもの。現在普通に演奏されるものより少し長めで、日本風のメロディーが多く含まれているようだった。何か随分得した気分に。
今日、プログラムを見て、???と思ったのは、共演でまさかの笛田博昭さん登場。が前半の二重唱、さらに後半では「アンドレア・シェニエ」の有名なアリア「ある日、青空を眺めて」を歌ってくれ、望外の幸せを味わった。
ま、彼に敬意を表したのか、その後、最後に「オー・ソレ・ミオ」を二人で歌ったのはご愛嬌かな。ソプラノのオー・ソレ・ミオは、勘弁してほしいけど、この状況じゃしゃーないか。客は熱狂していたけどね。
#73