170623 133分 監督:水谷豊
これまで興味も関心もまったくなかっった俳優だが、こういう作品を作れるとなれば、少し見方を変えようかな。いや、なかなか大した作品になっていて、感心した。
嘗て光り輝いていたタップ界のレジェンド、事故で踊れなくなり、以来酒浸りの生活と言えば、ごくありふれた話だ。そういう人物が、昔の仲間にほだされて、最後に一花咲かせるというのも、欧米の作品でも思い当たる作品が少なくない。
⬆︎「な、最後に、一緒にええ夢見よ!」と声をかけるのはダンススタジオ「ザ・トップス」の経営者、毛利(岸部一徳)
いつのまにか毛利のペースに乗せられ、オーディションをすることになる渡(水谷豊)
⬆︎最後に残れるのは、JUNかMAKOTOか、息詰まるような”戦い”
このオーディションの場面は、リチャード・アッテンボロ監督の「コーラスライン」(1985)をかなり意識して作られているような気がしてならない。特に、番号を呼ばれて前に出され、有頂天になっているダンサーに対し、「ようし、お前らはこれで帰っていいぞ」と言いわたす場面は、ほぼパクリだろう。
一旦、出場者も開催日も決まるが、その後、様々な事件が続き、中止に。ところが紆余曲折の末、決行することに急転直下決定。これが延々25分も続く圧巻のダンスシーンで、これはちょっとした見ものだ。
結構楽しめる作品に仕上がっていると思ったが、観客はまばらだった。
水谷豊、役者としても、渋い味がじわりと内面からにじみ出るような、実にいい感じだ。
#40 画像はALLCINEMA on lineから