171218
謎めいた画家、オランダ出身のヒエロニムス・ボスの三連祭壇画(トリプティック)「快楽の園」について、さまざまな人物にインタビューして、その謎に迫った作品。
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日本でも人気の高いフェルメールですら35、6点は存在が確認されているが、Kのボスは25点のみというからますます謎めく。最近も、そのうちの名高い一点、「放蕩息子」がボイマンス美術館所蔵のブリューゲル作「バベルの塔」展で展示されたのは記憶に新しいところだ。
だが、プラド門外不出の「快楽の園」は、マドリッドまで行かないと見られない。かなり昔、出張で行くたびに何度かこの作品は見た覚えはある。隅々まで細かいものが描き込まれているから、この祭壇画だけは近くで見ないと分からない。
プラド美術館の全面協力を得て完成させたそうだ。当館の学芸員はもとより、ボス研究者、作家(「悪魔の詩」でイスラムから死刑宣告を受けたサルマン・ラシュディ)、美術評論家、美術史家、写真家、作曲家、歌手、哲学者、社会学者などなど、あらゆる分野の専門家のインタビューを集めて90分にまとめたもの。
いろんな見方があるものと感心させられる反面、結局のところ、物事には様々な見方が存在するから、自分の判断を信じればそれでよいのだ、ということのようで、なにか呆気ないというか、うーん、なにか物足りない。見たもの、見えるものの、その先にある真実を探れとか、人ってまあ勝手なことを言うものだとつくづく。
歌手の中に、有名なアメリカ人オペラ歌手、ルネ・フレミングも含まれいて、絵の中にある楽譜を見て、即座に歌ってみせたのがご愛嬌。
#88 画像はIMDbより。