ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ロンドン、人生はじめます」

180423 HAMPSTEAD 102分、英、監督:ジョエル・ホプキンス(英、47歳)

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ロンドン近郊、高級住宅地ながら老朽化したマンションで一人暮らしをするエミリー(ダイアン・キートン)、ロフトで亡夫の遺品整理をしていて偶然見つけた双眼鏡で外を覗いたら、そこにはシャック(掘っ立て小屋)で暮らす一人の男の姿が。

ドナルド(ブレンダン・グリーソン)は、17年も前からそこで自給自足の一人暮らし。掘っ立て小屋とは言え、最低限普通の生活ができる程度の作りになっており、近くの池で水浴するのが日課であり、それなりに清潔で小ざっぱりしているが、ちょっと目にはホームレス感が漂う佇まい。

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公共の土地を不法占拠という疑いから一騒ぎとなり、ドナルドに興味を持ったエミリーも彼を救おうと立ち上がる。こうしてひょんなことから知り合いとなった二人には、まさかのエンディングが待っている。久しぶりにほのぼの感に浸れて映画館を後にした。

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亡夫が残した借金などを支払うべく、結局マンションの自室や夫の遺品を売りにだす。⬆︎競売に立ち会うのは別のところに住んで時々母親の様子を見に来る一人息子のフィリップ(ジェームス・ノートン、この特徴ある濃い顔、どっかで見たけど思い出せず、帰宅してから調べたら、テレビドラマ「戦争と平和」でアンドレイを演じたイギリス人俳優と判明。)

主役の二人がアメリカ人とアイルランド人というのが愉快だ。実際、映画の中でもそういう設定にしてある。キートンは既に72歳という老境、一方のグリーソンは10歳若い62歳。最近は息子のドーナル・グリーソンが親父以上に活躍中。

オリジナル・タイトルのハムステッドは近郊というより、厳密にはロンドン市内だが、市心からは北へ車で20分ほどの丘陵地で、ハムステッド・ヒースは文字通りヒースの丘として昔からよく知られている。また隣接するハイゲート墓地には、劇中にも登場するがカール・マルクスほか、著名人が眠っている。

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⬆︎ハイゲート墓地での昼食。絵になる一瞬。

私事ながら、ロンドン駐在中の我が家、ここからさらに北へ上がったフィンチリー地区に居住していて、通勤途中しばしばこの界隈を通っていた馴染みの場所。

なかなか味わい深い作品!この邦題は、まあまあ。まさかハムステッドではなんのことやらだから。

#30 画像はIMBdから。