181122 FAHRENHAIT 11/9 米 128分 製作・脚本・監督・出演:マイケル・ムーア
トランプが勝利した2年前の11月9日をタイトルに。9.11を取り上げた「華氏911」を意識した上手いタイトルだが、作品としては、同じく一人で製作・脚本・監督・出演した「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」、「シッコ」に比べると切れ味が落ちる。
どうして誰も予想しなかったトランプが勝利したかのカラクリを暴こうとした意欲は買うが、空振りしている感が強い。間口を広げ過ぎて、焦点がぼけたかな。
それと、日本では、ほとんど報道されていないムーアの出身地、イリノイ州フリントの大企業による水道水鉛汚染事件(水俣事件に重なる)などにかなりの時間を割いているのも日本人には今ひとつピンとこない。
この事件では、事態が一向に解決されないことに憤った地元民により、連日大掛かりなデモが頻発。当時のオバマ大統領が乗り込む騒ぎに。しかし、大統領は水道水を飲むというパフォーマンス(かいわれを食べた、当時の厚生大臣、菅直人の姿を思い出した)しか演じなかったオバマに対する失望感から、トランプに利する結果とムーアは断じている。
フリントの鉛で汚染された水を、元凶とも言われた当時のイリノイ州知事の自宅に放水するムーア監督。後ろの給水車にデカデカとFLINT WATERと書かれている。彼一流のパフォーマンス。
後半は、校内銃撃事件で生き残った高校生たちの、政治への強い関心と行動に焦点を当てていたのは悪くなかった。
すっかりおばさん化しているムーア監督。
#80 画像はIMDb、及びALL CINEMAから。