190626 このシリーズ、なんども聴きにきているが、最近は久しぶりだ。今、日本のオペラ界で実力・人気ともにトップクラスの一人、嘉目真木子が初登場。
実はこのシリーズ、日声協からはどんな構成にするかは完全に出演者に任されているそうで、出演者によっては、こちらが聞いたこともないような珍しい演目ばかりで構成する人も少なくない。まあ、それがこのシリーズの特徴として捉えればいいのだが、私見ながら、わずかでもいいから、誰もが知っている曲も含めてほしいというのが聞く側の本音。
そんなことを事前にご当人にも書いたりしてたので、今回、どんなプログラムになるか興味津々で臨んだ。果たせるかな、知っている曲は1曲のみであったが、どっかで聴いたことがあるものも含めれば3割程度。たとえ知らなくても、いい曲、親しみやすい曲が多く、聴衆のほとんどが満足の行く結果だったと思う。こ難しく、とっつきにくい曲でない限り、むしろ普段あまり聴く機会がない曲を聞く方が楽しいこともあるしね。
ご本人もさすがにその辺りを気にされていて、”わがままコンサート”と呼んでみたり、後半登場時には、「つまらなくて前半だけで帰ってしまわれるお客様がいたらどうしようと思いました」などと場内を笑わせていた。
この方、歌唱も天下一品だが、トークも嫌味がなく饒舌すぎず、人柄がよく出た見事なもの。曲目解説を曲ごとに丁寧にされていた。すべて外国語であるから、やはり歌詞の中身はある程度聞く側も知っておいた方がいいという配慮だろう。
前半はごく短く、分かりやすい曲を並べていた。後半は、それこそ誰もが知るドヴォルジャークの「我が母の教え給いし歌」から入り、2曲目、H.ホリガーの「ミレヴァの五つの歌」は10分を超える長いもので、気負わずほわっと聴いて欲しいと事前に案内があった。
アンコールには、珍しいことにイングランド民謡から「グリーン・スリーブス」。なんでもご母堂がお歌いになった際、ピアノ伴奏をされたとか。ピアノが下手だったと何度か言っていたが、この時は深夜まで必死に練習に励んだという懐かしい曲だそうだ。最近そのご母堂を亡くされているだけに、特別な感慨があったことと思われる。
#37 文中敬称略