191202 原題:Andhadhun (ヒンディー語)監督:シュリラーム・ラガヴァン
自らの芸術性を高める狙いで、盲目をよそおい演奏活動をするピアニストが、セレブに呼ばれ、豪邸で演奏することになるが、殺人事件直後の現場で、殺されたのは彼を読んだ亭主、犯人はその妻の不倫相手である警察署長!なんとかその場は無事に逃れるが、相手が悪かった。偽装盲目を見破られ、とんでもない方向へ事件は展開する。
いやぁ、インド映画でこれほど興奮したことはなかった。138分と長いのだが、途中だれることもないということは、脚本がよほどしっかりしていた証拠である。もちろん本国でもスマッシュ・ヒットを記録。当初、"Shoot the piano player"という英文タイトルも検討されたらしいが、中身を連想させるようなタイトルは不要ということで、めずらしくヒンディー語タイトルのみに。また事前の宣伝もほとんどせず、敢えて広告もごく控えめにして、逆効果を狙う作戦だったらしい。
ヒンディー語の中に時折英語が混入してくるが、インド人が話す英語にある独特の抑揚がヒンディー語のものであることが本作を見るとよく分かる。上流階級ほど英語が会話に登場するようだ。この話の舞台はPuneという、ムンバイから150kmほど東南にある地方都市。ひと月前に見た「ホテル・ムンバイ」と舞台設定がよく似ている。
冒頭、畑を荒らす一匹のうさぎを駆逐しようと、管理人が銃でうさぎに狙いを定め発砲するシーンが、ラストシーンに重なるという痛快な手法を用いている。
飼い猫の演技が素晴らしい。使用されているピアノは珍しく河合楽器製である。
#71 画像はALLCINEMA on lineから