ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「アリサカ」@東京国際映画祭

211101 第34回東京国際映画祭出品作品。フィリピン 監督:ミカエル・レッド

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有坂銃で狙いを定めるマリアーノ

満身創痍で雨の街道を必死の形相で一歩また一歩とよろめくマリアーノ(マヤ・サルヴァドール)。「ナザレーノ、アフレンテ、レコ・・・・」とつぶやきながら。

警察上層部の陰謀を暴こうとしている最中、それがバレ、銃撃を受け全員即死のはずがマリアーノだけは致命傷を免れ、かろうじて車外へ転がり出るのですが、今度は別の警察車両が確認のために現場に現れます。なんとか車の下に潜り込んだマリアーノですが、見つかってしまいます。

それでも運も味方してくれて、山中の先住民に救出され、回復するマリアーノですが、追手も諦めず、執拗に彼女を追います。先住民の少女が町のある方へ誘導してくれます。でも、その隙に、追手によって先住民一家は殺され、家に火をつけられてしまいます。

少女に手引きされたのは旧日本軍が潜んだ洞窟です。そこで見つけた有坂銃を手にしたマリアーノは、追手との決着をつけようとするのですが・・・。

かなり変わった作品です。タイトルが有坂銃であるという点がそもそも驚きます。また舞台になっている街道ですが、標識にバターンまで36キロとあります。太平洋戦争末期の”バターン、死の行進”の舞台です。

彼女がつぶやいていたのは陰謀に加担した者たちの名前です。襲撃された際、死んだ上司がここに証拠があるからと絶命前に車内で渡されたケータイにあったもので、これを彼女なりに必死で暗記していたのでした。

突然目の前に現れた先住民の少女、彼女に助けられ、別れ際も忽然と目の前から消え去ったのは、実際に起きたことなのか、あるいは銃撃された時点で彼女はコト切れていたのか、そんなことさえ思わせる内容でした。

自分なりに楽しめましたが、評判はいまいちのようです。かなりエグい場面も多く、女性にはオススメしません。このマヤ・サルヴァドールという女優さん、とても清楚な印象で、この役にはややミスキャスト気味と思いました。

何年か前に一度だけ東京国際映画祭の作品を見に行ったことがあります。当時は六本木が会場でした。チケット購入にえらく手間取った記憶があります。今は会場を有楽町・日比谷に移し、予約もスマホで簡単にできますし、QRコードを劇場スタッフに見せるだけで入場できるようになっていました。@¥1,600が安いのかどうか、判断しにくい価格帯ではあります。

早めに着いたので、付近を散策しました。

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日比谷三信ビルももはやこの通り。

日比谷の名建築として知られた三信ビル、昭和初期のレトロな雰囲気があり、1階には英国航空が入居していたこともあり、結構馴染みのビルの一つでした。

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三井三信ビル、在りし日の勇姿。

このビルの解体で、地下鉄出口A5が閉鎖され、シャンテ・シネに行くには少し遠回りになりました。

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東京国際映画祭の宣伝用ブースなども広場に。

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巨大スクリーンでも驚くほど鮮明な映像が楽しめます。奥はシャンテ・シネ。