ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

代々木に響く歌声

211121 地元合唱団でお世話になっているピアノの先生が出演されるというので、午前中の合唱練習終了と同時に飛び出して代々木に向かいましたが、途中ランチも取りましたが、余裕で間に合いました。

会場は代々木上原の駅から数分というアクセス表示がありますが、あの駅、改札を出てから、やたら東西に長いので、降車してからだと駅を出るまでが結構かかるので要注意です。それでもゆっくり歩いて8分ですから、至近という部類でしょう。でも、途中急な坂がありますから、高齢者はあなどれないです。

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なんか大きなタイトルです。音楽会というよりシンポジウムのような印象を持ちます。新人から中堅まで4人のオペラ歌手が歌い継いでいきます。定番通り、前半は軽めの日本歌曲、イタリア歌曲中心、後半にオペラ・アリアや重唱が用意されていました。

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今回、お初なのがメゾの依光ひなのさん。現在、院生だそうですから、まだまだこれからという立ち位置なのでしょう。とても立派なお声をしていて、今後場数を踏み、そして精進次第では、相当いいところまで行けそうな予感がしました。

他の3人の方々はこれまで何度も、多分十回以上は聞いていますし、中には第九で合唱団員の愚亭と同じ舞台に乗られた方もお二人ほど。ということで、実力の程は熟知しています。

演目は以下の通りです。S=澤崎一了、Y=依光ひなの、W=鷲尾麻衣、T=高橋洋

初恋 越谷逹之助 S
落葉松 小林秀雄 W                                                                                                                

六騎 山田耕筰 Y
赤とんぼ 山田耕作  T
翼、めぐりあい 武満徹 W
 
Song of Travel より
 The Vagabond
 Let Beauty awake (Vaughan Williams) T
 
Mi lagnerò tacendo (Rossini) Y
Stornello (Verdi)     Y
 
Amapola (Joseph LaCalle)
Granada (LARA, Agustin) 
 
*** 休憩 ***
 
Cosi fan tutte No.23 ドラベラとグリエルモの二重唱(Mozart) Y&T
Carmen ミカエラとホセの二重唱 (Bizet) W&S
 
Oh chi torna l'ardente pensiero  (Verdi)  Y
Di Provenza il mar il suol (Verdi) T
E lucevan le stelle (Puccini) S
 
ホフマンの舟歌 (Offenbach) W&Y
こうもりの二重唱  ついてきたまえ!(J.Strrauss)S&T
熱き口づけ (Lehar) W

大いに楽しませてもらった2時間(正味100分)でした。愚亭が最も楽しめたのは終盤の演目で、男性二人の重唱、「ついて来たまえ 踊りに行こう」(「こうもり」)で、お二人とも以前演じられたとは思うものの、キレのある実に堂に入った演唱でした。もしかしたら、お二人ともオペレッタが相当お好きなのだろうと察したほど。

ところで、こうした小さめのホールでの小さめのコンサート、来場客もさまざま、身内や、親しいお友達、歌の指導している生徒さんたち、私のような一般客、その中にも歌曲が好きなファンや愚亭のようにオペラ・アリアが一番というファンも入り混じっているので、最大公約数的にどう塩梅するかが出演者の悩みどころだと思います。

さらに申し上げれば、情感を込めてメリハリをつけての歌い方、もちろん皆さん心がけているはずなのですが、オペラ歌手って、やはり声量を最大に上げて歌うことが多いわけで、大ホールではほどよい声量でも、こういう小さなホールでは、どうなのかなあ、などと生意気にも思ったりしたコンサートでした。

そう言うふうに思うと、鷲尾麻衣さんの「落葉松」や武満徹の作品(2曲)、澤崎一了(かずあき)さんの「星は光りぬ」(「トスカ」)など、とりわけ心に沁みました。

アンコールは珍しいことにソリスト4人による合唱、「ナブッコ」から「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗せて」で、伴奏はお二人の連弾、出演者全員での演奏でした。

蛇足ながら、このムジカーザですが、1995年に個人が趣味で建てたそうです。デザインは、一昨年71歳で亡くなられたエドワード鈴木さん。渋谷にある宇田川町交番も曲線が特徴的ですが、このムジカーザも彼の作品の一つです。

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かなり目立つ外観です。これも曲線に特徴があります。中央が出入口です。

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一応2階席もあり、全部で100席以上は取れる設計です。