ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

カルメン(演奏会形式)@東京芸術劇場、無事終演!

240107

主催者が「日本で最高のカルメン」と、ま、半分冗談でしょうが、半分は本音で終演後、言っていたのが、大変印象的でした。愚亭にはあながちこれは誇張でない気がしています。

オケも合唱もアマチュア集団ですから、そこを差し引いたとして、ソリストの男女4人が、確かに現在考えうる最高の布陣で、しかも演奏会形式と謳いながら、実際にはそれらしい衣装を纏い、しかもソリスト同士で創り上げたフリがすばらしく、舞台装置がないだけで、本物のオペラ舞台に限りなく近い公演になったのは間違いないと思っています。

とりわけ、タイトルロールを演じた鳥木弥生さんのカルメンは、現在日本では最高の出来だったと思いました。ここまで、この難役をこなせるメッゾは他にいない気がしています。歌唱だけでなく、演技があまりにも見事で、観衆を完全に魅了したと思います。

愚亭の友人が20人以上も来てくれましたが、やはり口々に彼女のことを絶賛していました。もちろん、相手役、ドン・ホセの城 宏憲さんも現在、脂の乗り切った域に達していて、以前にもまして声の質に深みを帯びてきています。

カエラ役の鷲尾麻衣さん、昨年夏、愚亭も合唱団の1人として舞台に上がった「メリー・ウィドウ」で合唱指導をしていただきましたし、もちろん、かなり以前から何度も生で聞く機会があり、彼女の力量には精通しているつもりです。

カエラは、カルメンの舞台ではもちろん脇役ですから、そこはしっかりわきまえている必要があります。その点、完璧な仕上がりだったと思いました。城さんと鷲尾さんの二重唱にはうっとりされた聴衆が多かったと思います。

最後に闘牛士エスカミリヨです。ちょっと意外な配役ですが、現在日本のバリトンで、人気ナンバーワン、加耒 徹さんを充てました。かなり主催者の個人的な好みもあったようですが、この貴重な最後のピースをはめて日本最高のカルメン神話(?)が完成したと言えるでしょうかね。

ちなみに加耒さんを除く3名の方々は主催者、オルケストル・デ・ベルの初回の定期演奏会(2018/1/6)の第九でもご一緒させてもらいました。これまでオペラや第九などで何度も共演されていて、お互い慣れしたんでいる結果、絶妙のケミカルを生み出しているのは当然でしょう。

合唱の出来栄えですが、まあ及第点はいただいたと信じています。9月から練習を重ねてきましたが、一部、フランス語での超速歌唱には到頭最後までついていけず、やや自分の中では消化不良でした。

愚亭は6年ぶりにこのオケで歌わせてもらえましが、やはりこの間、確かな進化を遂げていることを実感しました。後ろから聞いているので、当然不自然な響きになるのは仕方ない中で、それは間違いないと思いました。初回の第九も指揮をされたマエストロ水戸ですが、その時はまだ20代だったわけで、今思うに、もしかしたら、天才?(笑)

後ろの左端に写り込んでいるのがマエストロ水戸。