ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「かれらに音楽を」@AmazonPrime

220101 THEY SHALL HAVE MUSIC(ほぼ邦題の通りの意味合い。ここのshallには、I will, we willの意味が働くこと、確か中学の英文法で)米、1939年、102分 製作:サミュエル・ゴールドウィン(MGM創立者の一人)、監督:アーチー・メイヨ

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よくある音楽をベースにした感動ドラマ。日本公開は1951年(昭和26年)ですが、製作は1939年です。真珠湾攻撃まであち2年という時代のニューヨークが舞台です。(撮影はカリフォルニアのゴールドウィン・スタジオが中心)

実は、この2年前にあの「オーケストラの少女」がユニヴァーサルから公開され、ディアナ・ダービンの人気もあって大ヒット。サミュエル・ゴールドウィンが、対抗意識から当時人気絶頂のヤッシャ・ハイフェッツを前面に押し立てて本作を作ったようです。

ストーリーは単純ですが、この映画の魅力は、あの天才ヴァイオリニストの演奏場面にたっぷりと時間を取っていることです。最初の方に出てくるサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリッチョーソ」、また終演部のメンデルソゾーンのV協から3楽章もそのままカットなしで映しますから、たっぷりと彼の演奏を堪能できるところです。

ただし、逆に演奏シーンが長過ぎて、ハイフェッツに興味のない人やクラシックファンではない人には展開が単純になり、とても「オーケストラの・・・」には対抗できなかったようです。

のちに西部劇で多く登場することになるジョエル・マクリーウォルター・ブレナンの若き日の姿を見るのも楽しいです。

蛇足ですが、この時、実際にハイフェッツが弾いていた楽器はグァルネリウスでしたが、映画の中ではストラディヴァリウスになってます。知名度を考えて、変更したらしいです。それにしても、そんな大事な楽器を、たまたま部屋に入ってきた浮浪児に盗まれるわ、返しにきた浮浪児仲間(主人公)にせがまれて、自分の演奏会当日の夜にわざわざ子供たちの演奏会に駆けつけるなど、あり得ないし、リアリティー、なさ過ぎです。クラシック・ファンには一応おすすめ。