ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ラスト・パラディーゾ」@Netflix

221020 L'ULTOMO PARADISO(最後のパラディーゾ)伊、2021年、1時間47分 パラディーゾは、本来、天国、パラダイスを指すイタリア語ですが、ここでは人の名前(姓)のことなので、邦題もラスト・パラダイスとはしていないのでしょう。どうやら、IL NUOVO CINEMA PARADISOを意識したようなタイトルのようではあります。

舞台は南イタリアの最貧州とも言われるバジリカータ(長靴の土踏まず辺り)のマテーラ、1950年代という設定です。撮影は、実際にマテーラで行われたました。マテーラは洞窟住居(サッシと呼ばれる)の街として、国際的にもよく知られた観光地でもあります。町外れで生活する貧しい人々の話です。

イタリアは日本同様、第二次大戦の敗戦国の一つで、戦後まもない時代ですから、特に目立った産業もないようなこの村で、人々は身を寄せ合うようにして生活しています。

そんな中、リッカルド・スカマルチョ扮するチッチョと呼ばれる男が主人公です。彼は、一応美男に属する伊達男として、妻子持ちながら、典型的なイタリア南部男として享楽的に日々を過ごしています。ちょっと目立つ女を見かけると、言い寄り、ものにしてしまう、なんとも手癖の悪い男ですが、それなりに茶目っ気があり、憎めません。

しかし、町の権力者、地主スケッティーノの娘、ビアンカに手をつけるに至って、状況は一変します。チッチョの仲間も散々「地主の娘だけはやめとけ」と忠告していたのですが・・・。そして、事件は起きます。

後半、チッチョの兄、アントーニオ(スカマルチョの二役)が登場し、リベンジを果たし、まるでチッチョの生まれ変わりのような行動に出て、見る者を意外なラストへと導いていきます。

私はなかなかよくできた作品という評価ですが、あまり話題にならなかったのが不思議です。