220717 UNA PICCOLA IMPRESA MERIDIONALE 2013 103分 監督:ロッコ・パパレオ(コスタンティーノ役で出演も)
ひょんなことから、社会のあぶれもの風の連中がイタリア南部の灯台に集まり、奇妙な連帯感から素敵な結末までを描きます。場所は特定されていませんが、南部ということで、シチリアをイメージ。(でも、撮影は全編サルジニア島)
晩年を迎えているマンマ・ステッラ、神父になっていた筈の長男、コスタンティーノ(ロッコ・パパレオ)が還俗し、出戻り。その上、その妹、マリアローザは亭主のアルトゥーロ(リッカルド・スカマルチョ)を捨て、新しい恋人と同棲すると知って、世間体を気にし、とりあえずコスタンティーノを一家が所有している村外れの灯台へ追いやるのです。
マリアローザの恋人っていうのが実は女性、つまり元々レズビアンだったらしいのです。アルトゥーロはいい恥晒しです。村を歩くと子供たちからもコルヌート(妻を寝取られた男のこと)とやじられる始末。彼の実家は音楽家一家で、姉妹もなにやら楽器を演奏するし、本人もピアノの腕はしっかりしています。夢はFAZIOLI(最近、日本にも進出しているイタリア製の高級ピアノ)を持つこと。
そんなこんなで、やがて灯台のあるボロ屋を素敵なホテルに改装し、絆の深まった一行はヨットで大海原に漕ぎ出すところで、LA FINE。劇中、スカマルチョの歌声が聞けますが、本人が実際に歌い、ピアノも弾いているようです。
保守的な南部で同性同士の結婚式が執り行われるという終盤では、呆れた招待客が「恥知らず!」という言葉を残して去っていきますが、彼らは気にせず、逆に絆を深めることになり、傷心の思いだったマンマ・ステッラも笑顔を取り戻し、シチリアの海を帆走するヨットに満足そうに眺めるのでした。
ところで、灯台と言えば、荒波が打ち付ける岬にポツンと立っているのが定番ですが、この作品での灯台はちょっと変わっていて、上のポスターに描かれているように住居の上に置かれていて、とても灯台というイメージではないのが愉快でした。