221018 小雨の中、ひさしぶりに上野駅公園口に降り立ちました。
さすがにこういう晴れがましい舞台だけに、キャストを厳選した観があります。大御所、ヴェテラン、中堅どころを分厚く配していますが、それでは新味もないので、種谷典子さん、宮地江奈さんと、最近進境著しく、また華のある2人の若手ソプラノを加えています。若手男性がいないのがちょっと残念です。
しかも、種谷典子さんには司会がたっぷり時間をとってインタビューまでしています。(インタビューは後半の大御所、福井 敬さんと2人だけですから、この種谷インタビュー、どんな力学が働いたんでしょうか?それだけ期待の星なんでしょう。大事に育ててほしいものです。)
司会はベテランの宮本益光さん。軽妙な進行ぶりは、大したものですが、二期会に対する個人的思い入れなど、ややしゃべり過ぎかな、という印象もほんの少し。ご本人、冒頭にやや長めのコジからのアリアを歌われました。堂々たる歌いっぷりはさすがです。
どなたも、今宵の舞台にかける意気込みは大変なもので、いずれ劣らぬ歌唱でした。そんな中で薔薇の騎士の重唱はまさに大御所vs.人気若手という組み合わせの妙をたっぷり堪能しました。
アンドレア・シェニエからのアリアを歌った山本耕平さん、マクベスからのアリアを歌った今井俊輔さん、いずれもじっくり熟成してきた技を披露され、聴衆に深い感銘を与えたでしょう。
大御所福井 敬さんの「衣装をつけろ!」も素晴らしかった!我々世代のオペラファンだと、どうしてもマリオ・デル・モナコの忘れ難き世紀の名唱が頭にこびりついていますから、比較しがちですが、今宵はそれを忘れさせてくれるほどの熱演でした。
今の日本オペラ界でソプラノ・ドランマティコと言われる人はごく少数だと思いますが、田崎尚美さんもそのお一人でしょう。トゥーランドット姫のこの詠唱を歌えるということだけで、敬意を払ってしまいます。
田崎さんへの大喝采鳴り止まぬ中で登場したトリ、樋口達哉さんのネッスン・ドルマも今日のガラ・コンを締めくくるにふさわしい名唱でした。最後に、全員で例のこうもりからの「乾杯、かんぱい、カンパーイ!」を、場内の手拍子と共に賑やかに歌って幕!!
蛇足:さすがというか、東京文化会館の音響調整には感心!難聴気味の小生には、最近トークが聞き取れないことがほとんどなんですが、今日は100%聞き取れましたからね。感動もの。
平土間こそ、そこそこ埋まっていましたが、ほかはかなり空席が目立ちました。コロナ、再び勢いをとりもどしつつあり、第8波の到来近しを予感させます。
蛇足2:失礼ながら、70周年ガラにしては、プログラムがショボいんですよね。というか、最近はプログラム作成に昔ほど予算をかけない傾向なんでしょうね。私は多少ショボくても小型版が好きですが。