ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「パリの恋人たち」@Amazon Prime

221022 L'HOMME FIDÈLE (忠実な男)仏、1時間15分 脚本・監督・主演:ルイ・ガレル

まあ、なんというか、実にフランス的な、これぞフランス映画と言えば言えそうな作品。それにしても、さんざん使いまわされそうな邦題ゆえ、「ん、前に見たかな?」ってな感じで確認したら、見ていませんでした。よくこんな陳腐なタイトルを選んだものですね。

原題は上にある通りなんですが、この日本語ポスターにはAmoureux de Paris(パリに恋して)とありますね。なんでこうなったんですかね。ちなみに、英語タイトルもA Faithful Manと、原題と同じ意味です。(尤も、仏語では定冠詞、英語では不定冠詞と、微妙な差)

男が3年ほど同棲していた女からある朝、唐突に「彼と結婚することになったの。もう妊娠していて、彼の子なのよ」って告げられるのですから、唖然ボーゼンですよね。そう言われちゃったら、出ていくしかないですよね、男としては。

それから8年、そのカレシというのが突然死で、元々親友だったので、葬式に行き、女と久しぶりに再会。その子供も小学生になっています。これがまたこまっしゃくれた男の子で、観察眼が鋭く、大人びた発言で、男は翻弄されっぱなし。(この子、演技がはんぱなく上手い!)

途中から男を子供の頃から恋慕う若い女が登場。(下の名がデップというから、もしやと思ったら、果たせるかなヴァネッサ・パラディジョニー・デップを両親に持つ娘)

この娘と三角関係となり、男はあっちへ行ったりこっちに戻ったり、散々な目に。女たち、そして子供に翻弄されっぱなしなんですが、ある意味、まじめなんで、誰も傷つけないんです。ちょっと煮えきれないからいらいらもしますが、ま、最後の墓地でのシーンなんかもとてもよい終わり方で、いいんじゃないんですかね、こんな生き方も。

主演もやったこのルイ・ガレルって男、才人だし、結構、気だるい感じがなんとも好感が持てる、いかにもフランス男。台詞回しも嫌味っぽくないし・・・。女は実生活でガレルの女房、レティシア・カスタといいます。私はまったく知らない女優。ちょっと憂いがあって、ただの美人でないところがまたいいです。

ジョニデの子供は・・・ま、大したことないですかね。あまりにも子供っぽくて、ちょっと恋愛の対象にはならないって感じかな。

てな塩梅で、見て損のない作品でしょうか。