230904 Mystère à Paris (これは勝手につけた原題)つまり、これは全部で7話からなるシリーズで、2011-2018に主にフランス国内で放映されたテレビドラマということです。
1話(概ね1時間半)ずつタイトルが付けられています。時代は19世紀末、舞台はパリ。もうこれだけでわくわくしませんか?
第1話から順に、ムーラン・ルージュ、エッフェル塔、オペラ座、ルーブル博物館、エリゼー宮(大統領官邸)、ヴァンドーム広場(ホテル・リッツ)、パリ大学ソルボンヌ校、とまあ、よくこれだけパリ市内の著名なスポットを選んだものと感心します。
↑はMystère au Moulin Rouge。ここでポスター画の下絵を制作するトゥールーズ・ロートレックや、名物男、骨なしヴァランタン、大食い女、ラ・グーリューなど、ポスターに登場するモンマルトルの名物男・女も出てまいります。主演の女優が冴えないのが残念!
オペラでは当然歌姫や楽屋裏での恋の鞘当て、舞台の動線や裏のカラクリまで見せてくれて、興味がつきません。
エッフェル塔の巻では、設計者エッフェルの命が狙われたり、塔のてっぺん近く、鉄骨剥き出しの梁の上での追跡シーンは、かなりハラハラさせられます。信用していた男のまさかの裏切りがあったり・・・。
ルーブル博物館では、アルセーヌ・ルパン並の活躍を見せる鼠小僧まがいの天下の女泥棒の鮮やかな手口と、絶体絶命と思わせてのどんでん返し。
エリゼー宮では実際この宮殿を使って撮影されたそうですが、大統領暗殺事件を扱います。大統領側近が関与しているのか、最後まで緊張感をひっぱります。
ヴァンドーム広場に面する世界一のホテル・リッツでは、女料理人が主役で、彼の一人息子(実子ではない)が誘拐され、オーナー・総支配人のムシュ・リッツや、名物シェフのエスコフィエも登場します。リッツの厨房内部の模様も克明に描かれます。
ソルボンヌ編は一番地味だったかも知れません。ある日、男子ばかりの教室に女子が入ってくると大騒ぎとなります。からかう者、怒る者、いっせいに紙つぶてを女子大生に投げつけます。まだそんな時代なんですね。やがて、彼女が殺人事件の容疑者となり、学部の先生や学生を巻き込む大きな事件へと発展していきます。これもソルボンヌで撮影されています。
てな具合で、見せ場が実に多いのですが、役者、特に女優にあまりパッとした人がいないのが寂しいです。
でも作り込み方が実に丁寧です。それと時代背景となる普仏戦争や、ドレフュス事件など、実際の事件や人物の名前がふんだんに出てくるので、そういうことを知っていると、さらに楽しめること、請け合いです。