ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

Ça, c'est Paris!

150922 リヨンのパールデュー駅から昼過ぎのTGVでパリまで2時間。曇り、時々雨。パリのリヨン駅着は雨の中。ここは1867年のパリ万博の折、徳川慶喜の弟、昭武(当時14歳)一行がチョン髷姿で降り立ったところ。この時の模様は、1980年のNHK大河ドラマ獅子の時代」の冒頭シーンで再現されている。

ついでだが、リヨンはフランス第3の都市だが、人口50万弱、第2位のマルセイユが85万、1位は当然首都パリだが、それでも225万人と、意外に少ない。リヨンの印象は、いかにも田舎だなァ〜ということ。パリに比べられちゃうと、どこも田舎に見えてしまうが、50万都市だから、考えるまでもなく、無理からぬこと。

それでも、旧市街あたりの雰囲気や、二つの川に挟まれた独特の地形が生み出す”潤い”のようなものは、リヨンならではと思ったりもする。それと、生活のリズムや時間帯が日本のそれにやや近いというか、健全な気がする。パリのつもりで行動すると、飲食店がすでに店じまいしていたりで、慌てる一幕も。

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リヨン駅からタクシーで12ユーロで着いた先は、⬆︎この★★のちっぽけなホテル。オペラ通りから少し入ったところにある小さな広場に面している。前回、目星をつけておいたところだ。設備、サービスの割に手頃な値段(一人当たり朝食付きで一泊¥12,500ぐらい)、つまり立地が良くて、コスパが高いというのが選定理由。

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ロビーの傍に15人ほどでいっぱいになる朝食スペースがある。13Euro(1800円)と安くはないが、毎朝カフェに出かけるのも面倒と、ずーっとここで食べることに。

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最近改装したのか、こじんまりとしていても、設備は新しく清潔にメンテされている。ここもシャワー・オンリー。ベッドが快適で、シーツが清潔、そして静かが一番。

ここはNHKが見られるから、カミさんは連ドラやら大河ドラマをしっかり見ていた。

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日曜日、パリ在住の知人とランチを取る予定だったので、まずは歩いていけるルーブル本館へ。かつては日曜入館料無料で、さすがフランスと思わせたが、財政難から、そうもいかず、毎月第1日曜日に限定。それも、10月からのオフシーズンのみ。(イギリスは、今でも特別展示を除けば大英博物館やナショナル・ギャラリーなどは無料政策を貫いているから、凄い!)

館内、相変わらず中国人だらけで、いささかうんざりである。しかも鑑賞作品を画像に収めるか、自分も入れて写すかで、それが済むと、鑑賞もせずに立ち去るからねぇ〜、もったいない!モナリザの前の人混みもいつもの光景。それと、今回、新たに気づいたのは、フラッシュ撮影。当然禁止なのに、あちこちでピカリ、ピカリ。注意するのが面倒なのか、スタッフももはや何も言わない。ひどい話だ。

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夕食をしようと出かけるが、日曜なので、空いているところが少ない。宿の近くは、さながら和食街の様相で、何軒かおきに和食屋があり、どこも満員の盛況。客も店側も非日本人というところが、昔とは大違い。

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翌日は一度行ったことのあるジャックマール・アンドレ美術館へ。ちょうどメディチ家特集で、関連する人物の肖像画を展示していた。ここは日本語のオーディオガイドも揃えているから大したものだ。我々にあまり縁のない特別展より、館内を見て回る方がはるかに面白い。富豪アンドレさんと、後に妻になるジャックマールさんが収集した美術品を所狭しと展示している。

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午後は久しぶりにポンピドゥー・センターにある国立近代美術館へ。マチスも、一時期、点描に関心を抱いて、こんな作品を残している。

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今日の天気は不安定で、突然降り出したかと思うと、カーッと照りつける。美術館からの眺め。遠くにサクレクール寺院が見える。

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誰が見てもセザンヌと思うが、ジョルジュ・ブラックの作品。巨匠と言われれる画家たちも若い頃は、散々悩み抜いて、いろんな手法を試してはやめ、の連続のようだ。

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翌日は、パリでやっと晴れ間が。珍しく20区へ。Porte de Bagnolet駅からすぐのところにあるRue Irénée Blanc。正直なところ、19区、20区というと、あまり良い地区ではない。移民が多く住む、ちょっと荒んだ雰囲気と思いがちだが、意外にも、こんな風情のある、落ち着いた一角があるのだ。

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しばらく見ていると、ある程度以上の収入のある高齢者が多く住んでいる様子。

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ショッピングのため、再び中心地区へ。ヴァンドーム広場では、大掛かりな工事をやっていた。左側のHôtel Ritzである。同時に、広場の中心にある円柱もすっぽり覆われていて、修復というより洗浄が行われているようだ。いつも感心するが、工事中のこうした覆いがとてもオシャレなこと。こういうところは日本も真似すればいいのだが。

ホテル・リッツがどのように修復されるか知らないが、ホテル・オークラのように高層に生まれ変わることはない。そんなバカなことは、断じて考えないのがフランス人。

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この日のお昼は、Rue DaunouとRue de la Paixの角にあるPascadeというモダンな店に。ここはオンフルールにある魚介類専門の和食店、その名もSa-Qua-Naの姉妹店。オーヴェルニュ出身の若きオーナー・シェフが斬新なアイディアを注ぎ込んだ店。内装や什器備品類もとてもオシャレで、メニューも凝ったものが多いが、値段は手ごろときているから、当然混んでいる。幸い、時間が早かったので、予約なしで座ることができた。

この⬆︎グリーン・リゾットは、まさに逸品。旅行中、一番美味しかった。ベースになっているのはクレープ生地。ほんのり甘い。パスカードというのは、そもそもオーヴェルニュ地方のクレープの呼称とか。そこにリゾットを加え、更に、その上にグリーン・トマトやしめじ、グリーンピースなどを乗せたもの。風味といい、歯ざわりといいサイコーに美味しかった。量も多からず、少なからず。ここのキッチンには若い日本人のキュイジニエがいて、本人がわざわざテーブルまで料理を運んでくれて、少しおしゃべり。

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あまり食欲のないカミさんは⬆︎これ。Our Big Saladとメニューには書かれていたが、特にビッグでもないし、フルーツを欲しがっていたので、大喜びだった。

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食後はぶらぶらとチュイルリー公園からシャンゼリゼまでお散歩。晴れて、すこぶる気持ちのよい昼下がり。

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かつて幾度となく足を運んだジュー・ドゥ・ポーム、現在どうなっているか、気になっていたが、建物はそのままで、展示会場になっていた。

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シャンゼリゼの中ほど、グラン・パレでやたらキラキラ光るものが見えるので近寄ると、入口のドアに特殊な鏡を取り付け、青空と周辺の樹々が見事に映り込んでいる。間もなくエリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの回顧展が始まるようだ。マリー・アントワネットの肖像画を描いた女流画家として、とりわけ有名だが、自身、⬇︎大変な美人だったらしい。

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会期が少しずれていてくれたらなァ〜。残念至極!

こうして10日間の旅は、無事終了。今回も保険の世話にならずに済んで、やれやれ。でも、後期高齢者の仲間入りが近づいているだけに、疲れやすくなっているのは間違いない。特にカミさんは、普段から少食だけに、馬力が出ず、特に上り坂には、まったく弱く、すぐにへたばってしまう。美術館巡りも、結構エネルギーを使うから、今回、自分一人で見て回り、カミさんはベンチで休憩という場面の多いこと。ともあれ、無理は禁物、時間をかけてゆっくりと。以前は夕方もオペラや教会のコンサートに行くことが多かったが、今回は一切それもなし。できるだけ身体を休ませることに努めた。せっかく遠くまで来たのだから、何でもかんでも見てやろうというスタイルは、完全に卒業だ。少し寂しいが、健康第一!

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帰路のエールフランスも機体はボーイング777-300ER。エコノミーでも、シャンパンがいくらでも飲めるのが嬉しい。と言っても、2杯がせいぜいだが。そのあと、白ワインをいただき、陶然としながら、映画鑑賞。いつの間にか眠ってしまった。

次回もフランス?それは、ちょっとねぇ〜、いくらなんでも。(と思いたいが)

今回は、初めてカメラを持たず、iPhoneのみ。撮影条件がそれほど悪くなければ、まったく問題ないことが分かった。