ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「暗殺のオペラ」@Amazon Prime

230408 STRATEGIA DEL RAGNO (クモの戦略)1970 1h40m イタリア 脚本(共)・監督:ベルナルド・ベルトルッチ

タイトルと監督、主演女優につられて迷わず見ることにしたのですが、ベルトルッチですから、それなりに難解です。昔、「暗殺の森」(IL CONFORMISTA)という作品を面白く見たのですが、同じ監督の作品なので、邦題をあえて「暗殺の・・・」に揃えたらしいです。

ポー川の流れる地域、北伊の地方都市、TARAという町が舞台ですが、この名前の町は存在しませんので、架空ということでしょう。方言ではなく、標準イタリア語なので、地方感があまりでませんね。

いかにも地方都市の駅という感じのセットです。なんとなく西部劇風のたたずまい、そう、あの「真昼の決闘」のシーンを思い起こさせます。

このターラでファシストに抵抗したレジスタンスの闘士として英雄に祭り上げられ、市心には胸像まで建てられているアトス・マニャーニという人物の、同じ名前の息子が、父親が殺された事実に納得できずに、トランク一つ持って町にやってきます。

父親の仲間だったという人物に会ったりして、いろいろ探りを入れていくと、さまざま奇妙なことが彼のまわりで起き、大いに戸惑い、かつ悩まされ、父親の死の謎が深まるばかり。同じ俳優が父子を演じているので、しばしば混乱します。服装で見分けるしかありません。

謎めいたドライファという名前からして奇天烈な女性が登場、これをアリダ・ヴァッリ(1921-2006)が演じています。この時、51歳で、まだまだ美しいです。代表作「第三の男」は28歳、「夏の嵐」33歳、そして「かくも長き不在」が40歳の時でした。

それから邦題にあるオペラですが、バックに流れたり(イル・トロバトーレ、仮面舞踏会、リゴレットなど)、オペラ座での父親の仲間たち(犯人たち?)との対決シーンがあるという程度で、オペラそのものは出てきません。「夏の嵐」ではトロバトーレの舞台が効果的に冒頭で使われましたが。

それと、町の多分1軒だけある映画館には「ガン・ファイター」(カーク・ダグラスロック・ハドソン)がかかっているシーンが出てきました。

またフィアット500という、あの時代の名車が重要な役割を担っています。難解ですが、時代性のある小物を多用したり、作り込み方がとても丁寧で興味を惹きます。冒頭のタイトルにはリガブーエのどぎついカラーの絵画が多数登場するところも、なんかワクワクしました。