ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「レンブラントは誰の手に」@Amazon Prime

230611 MIJIN RENBRANDT オランダ語で『私のレンブラント』)1h37m 2019 オランダ 製作・脚本・監督:ウケ・ホーヘンダイク(「ようこそ、アムステルダム国立博物館」2014)

滅多に見ることのないほど上質なドキュメンタリーです。これほどとは思ってなかったので、見終わった高揚感は格別でした。

アムステルダムの中心、運河に面する広い窓を持つ邸宅に住むオランダの超名門一族の末裔が主人公の一人と言えるでしょうか?(主人公はレンブラントですが)レンブラントの作品に登場する人物を祖先を持つほどですから、所有するレンブラント作品は、質も数も半端ないのです。しかも、一族のDNAを受け継いで絵画に対する独自の確かな鑑識眼で新たにレンブラント作品を発見していきます。

フランス在住の屈指の富豪、ロートシルトロスチャイルド)家は所有するレンブラントの傑作を市場に出すことに。すると、ルーブルvs.オランダ、所有する側と画家の出身地の争奪戦となります。フランスは断じて国外に出すまいと、政府まで関与するほどの熱の入れよう。

スコットランドのハイランドに広大な敷地で優雅に暮らす公爵、ここにも1点、レンブラントがあります。いかにも名門貴族らしい雰囲気を漂わす現当主は、自分が所有するレンブラントを今の場所から別の部屋い移すことを思案中です。最終的に、居間のマントルピースの上にします。下では赤々と炎が燃え、その上の位置ですから、おいおい、大丈夫かい?と思ったりもしますが、広々した居間のソファでゆったりと読書する姿に、日本人には計り知れない奥行きのある伝統と豊かさと感じざるを得ません。

優れたカメラワークで見事な臨場感を醸し出す手法には脱帽します。眼福、至福の1時間半でした。