ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「テノール!人生はハーモニー」

230614 TÉNOR 仏 2022 監督:クロード・ズィディ・ジュニオール

こりゃまたハチャメチャ作品で、大いに楽しめました。

ストーリーは単純だし、まあよくある話です。会計学を学びながら寿司屋のデリバリーで生計をたてているラッパーが、偶然、パリ・オペラ(Opéra Garnier)座へデリバリーをしたことから、彼の人生が急展開。ラッパー仲間や自分を親代わりで育ててくれた格闘家の兄にはオペラの勉強をしているなんて言えるわけ、ないんですよね。

んで、とうとう、オーディションの日を迎えてしまって・・・あらら。

なんたって、超有名ラッパーであるMB14(本名はモハンメド・ベルキール)がラップの妙技はもちろんのこと、オペラまで歌っちゃう、それも吹き替えなしですから、これにはぶったまげますよ。彼がそんなに有名なラッパーであることはおろか、オペラまでうたえるとはまったく知らなかったもので、ほんとうにびっくりしました。

当然オペラ歌手が吹き替えているんだろうと。エンド・ロールでそれらしい人物をさがしたのですが、見つからず。確かに、本物のオペラ歌手なら、もう少し上手く歌えたはずで、後から考えれば、素人っぽいのは事実ですが、例のNESSUN DORMAも、きちんと最後のH音は伸ばして歌っていましたから、大したもんです。

デリバリーとは言え、あんなに簡単にオペラ座に入れるはずはないし、ましてやレッスンの最中にそこまで入ることはあり得ないです。また、まったくオペラの勉強しておらず、楽譜も読めない、イタリア語も知らないという設定では相当無理があると思いましたが、ま、そんなことはどうでもいいぐらい、このMB14の衝撃が大きかったということです。

ついでながら、ガルニエ・オペラの内部、特に舞台周りが克明に撮影されていて楽しめました。また、製作に韓国資本が入っているのか、ソウルのことや、寿司職人であることから、日本のことも、結構会話の中には登場していました。