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ご存知、博覧強記のフランコ酒井が手がけるコンサートゆえ、今をときめく人気オペラ歌手が多数登場する。この人、これを本業としているわけではないのだが、毎年素晴らしい公演をいくつも企画してくれて、われわれオペラファンにはまことにありがたい存在である。
今回は、特にフランス在住歌手にスポットが当たった印象のコンサート。パリ在住、伊藤真矢子は、偶然昨年末、杉並第九で同じ舞台に乗った縁があり、ちょっとした珍事が起きたことで、終演後、その話でちょっと盛り上がった。とても澄んだ高音にとりわけ魅了される。
ボルドー在住、齋藤純子は、かねがねフランコ酒井から抜群のうまさは散々聞かされていたので、今回、最も楽しみにしていた歌手。噂にたがわず、その実力のほどには圧倒された。単なる美声ではなく、喉を自在にコントロールできる技がハンパでないこと、実感した次第。
そのほか、登場した歌手たち、いずれも人気・実力を兼ね備えた名手ぞろい!あっという間の2時間だった。中でも進化の著しい村上公太が久しぶりに聴けたのは嬉しかった。また鳥木弥生のカルメンは、もはや日本オペラ界における至芸だろう。
ロシアものとシュトラウスを歌った与那城 敬、端正でそつのない歌いっぷりには、とりわけ女性からの喝采が大きかったように感じた。
マダムバタフライ、第1幕のシェーナに登場した野田ヒロ子、そして日本オペラ界の最長身(多分)のテノール、古橋郷平も、それぞれの持ち味を発揮、聴衆を魅了しきっていた。古橋郷平は、つい先日も二期会本公演で同じ役を演じたばかりで、動きも堂に入っていた。
#78 (文中敬称略)