ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

METライブビューイング アンコール上映「マリア・ストゥアルダ」@東劇

240826 今年2月に内幸町ホールで見た大隈智佳子さんプロデュース・出演で初めて生で観た作品のMET版を見たくてクソ暑い最中、築地の東劇まで脚を運びました。

ちなみに、この日、初めて傘を差して炎天下を歩きました。やはり快適でした。このところ、午後から天気が急変して大雨が降る不安定な気象状況なので、晴雨兼用傘は持ち歩くべきでしょうか。超小型傘なので、普段はズボンのお尻のポケットに入れています。以上、どうでもいい情報。

10年ほど前に公開された作品を見ました。映像・音響とも、まったく遜色なしでたっぷり楽しめました。

まず、この原作はフリードリッヒ・フォン・シラーということ、知りませんでした。それをG・バルダーリが台本を作り、それを基にガエターノ・ドニゼッティが曲をつけたオペラで、1835年に完成、同じ年、ミラノ・スカラ座で初演されています。

主役のメアリー・スチュアートは、スコットランド王国の女王です。イングランドチューダー朝最後の君主、エリザベス1世とは又従姉妹の関係ですが、敵対しています。この劇の当時、メアリーは26歳ぐらい、エリザベスは9歳年上なので、35歳。

スコットランドの内乱を逃れようとしてメアリーが逃げ込んだのがエリザベスが統治するイングランドだったという訳ですが、この二人、実は会ったことがないというのが、史実上での定説です。

エリザベスは当初はメアリーを亡きものにしようとは思ってなかったようですが、メアリーがエリザベス暗殺の陰謀に加担したと疑われる一方、幼馴染みで恋愛関係にもあったレスター伯ロバート・ダドリー卿(今回はM・ポレンザーニ)がメアリー助命嘆願に動いたので、嫉妬のためとも言われ、結局、メアリーに死罪を言い渡してしまったというわけです。

こんな血生臭くもドラマティックな内容ですから、主役二人の対決シーンはまさに鬼気迫るものがありました。

加えて、これでもかというほど、メトが気合を入れて作り上げた舞台装置・デザインと当時の本格的コスチューム、(特にエリザベスのまとった衣装の豪華なこと!)、その上でのエリザベス役の南ア出身、エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー(こんな長い名前は覚えてもらえないからダメですねぇ!)とタイトル・ロールを張ったアメリカ人、ジョイス・ディドナートの歌合戦、ほんとにトリハダものとはこういうのを言うのでしょうか。

少し若い(年齢等詳細不明)エルザさんも重厚な衣装をまとって大奮戦しましたが、さすが年季の入ったベテラン、ジョイスさんに及ぶところではありませんでした。終幕の長い長いアリアを歌いっぱなしで、こんなすごい人がいるんだと、改めて感嘆した次第。いやはやメトに出てくる歌手って・・・!!

もちろん男声陣も大いに頑張りました。特にレスター伯を演じたテノールマシュー・ポレンザーニも大熱演。降板したテノール(誰だったかな?)の代役でしたが、見事な演唱でした。ジョイスさんもマシューさんも姓はDIDONATOPOLENZANIなので、イタリア系。

ちなみに、演出と舞台装置の担当者は二人ともスコットランド出身ということで、本作には縁があるんですね。

インタビューアーはアメリカ人歌手、デボラ・ヴォイトさんでした。この方もレジェンド級