ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ローン・サバイバー」

140321 原題もLONE SURVIVOR []ピーター・バーグ 米 121分 これも実話に基づく作品。このところ実話の映画ばかり見ている気がする。特にアメリカ映画にこの傾向が強い。何故だろう。事実は小説より奇なり!

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 ⬆派手な見出しが踊るが、アカデミー賞はゼロ。ノミネートですら、辛うじて音響編集賞と録音賞の2部門のみだから、このうたい文句にだまされてはいけないのだ。

 

いつの間にか忍び寄る敵。読み通りだが、4対200という圧倒的に劣勢で、どう戦えばいいのか。こんな状況、習ってないぞ!誰か教えて欲しい!そんな必死の願いも空しく、一人、また一人と。そこらじゅうの肉が裂け、鉄片が突き刺さり、目には血しぶきが降り掛かり、耳も、塞がれたような遠い感覚しかない。

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米軍最強と言われるネイビー・シールズの強者4名が空から舞い降りた地は、タリバーンが跳梁跋扈するアフガニスタン山岳地帯。綿密な計画で実行した作戦だったのだが、山岳地帯ゆえの通信障害をもっと計算に入れておくべきだった。これが致命傷となる。

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緒戦は、ほぼ描いた通りに進行、余裕の表情の4名。だが、ヤギを放牧させる村民との予期せぬ遭遇がすべてのシナリオをゆっくりと狂わせていく。引っ捕らえてみたものの、子供と老人、青年をどうするのか。

 

4人の意見は別れる。見逃せば、報復されることは目に見えている。ならば殺すのか。子供までも?この選択肢はないと頑強に言い張るマーカス(マーク・ウォルバーグ)。究極の選択を迫られる。結局、リーダー格のマイケルの決断に委ねる。この作戦は失敗と位置づけ、彼らを解き放ち、無線でヘリを要請、撤退を決める。

 

が、通信障害で彼らの必死の叫びも作戦本部には届かない。ああっ!その頃、地上では見たことのないような修羅場が展開されて・・・やっと慌てて大型ヘリ2機で16名の精鋭部隊が現場に到着、地上も空も大快哉、となる筈だったのが、交信が傍受されていたからさぁたまらない。2機ともロケット弾で狙い撃ち。

 

20名中、一人(ローン)生き残った(サバイバー)マーカス、ここから奇跡の逃亡が始まる。

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⬆無事救出されたマーカス、命の恩人となったパシュトゥーン人の子供と感動的な別れのシーン。ここはさすがにジーンと来る。一見見分けがつかないが、タリバーンを嫌うパシュトゥーン人に出会ったことで、奇跡を起こすことに。外敵から逃れて我が懐に飛び込んで来る者は、命に替えてでも守り抜くというのは、パシュトゥーン千年の教えだそうだ。

 

冒頭、ネイビー・シールズの、それこそ地獄の猛特訓ぶりが実写フィルムで紹介される。両手両足をしばったまま、水中に投げ込まれ、どれだけ耐えられるか、など、ちょっと間違えば死に至るような、無茶苦茶振り。失神者続出。耐えきれない者は、自分のヘルメットを置くことで脱落となる。生き残れるもの、僅かに15%というから、どれだけ激しい訓練かが分かろうと言うもの。

 

これまで何度かネイビー・シールズを扱った作品があったが、ま、これはその中でも本作は極めつけだろう。因に、NAVY SEALSとは、SEA, AIR, LANDの頭文字から起こしたものらしい。

  

#22 画像はALLCINEMA on lineから