180731
この秋に予定されている本番には行かないが、講座だけでお茶を濁そうという魂胆。そうしたことは、これまでも何度か。青島広志講座、上にあるように、すでに通算41回というすごい回数で、そのうち多分20回以上は参加している。
この先生のすごいところは、話をしていたかと思うと次の瞬間には鍵盤を叩いていて、昨夜など右手にマイクをもったまま弾いてみたり、神童モーツァルトがマリア・テレジアの御前で目隠しして演奏したシーンを再現したりと・・・。こういうマネのできる人は、あまりいないと思うのだが。加えて、早口の話がまた抱腹絶倒で、それも同じ話で笑わせることがない、ということは、どれほどの引き出しの数かと驚愕あるのみ。
さらに、特技は絵を描く技術!白板にさらさらと世界地図を描いて、そこにさまざま文字を書き加えながら解説していくのだが、字の書き方が速い、速い!素人にもほんとにわかりやすく解説するから、まことに貴重な講座である。
昨日は西洋音楽に持ち込まれた東洋趣味がテーマだから、トルコ音楽、と言っても軍楽隊の調べのことだが、これが盛り込まれた「トルコ行進曲」をベートーベン、そしてモーツァルト作曲のものを弾き比べてくれたが、「今回で最後」と言いながら、ピアノ演奏技術もまだまだ見事なもの。
富平安希子は、今回初めて聴かせてもらったが、いやぁーまだこんなうまい人がいるんだと、二期会の底堅さを改めて認識した次第。超高音部までこなせる歌唱はもとより、舞台姿も美しいし、青島広志先生とのトークも、まったく物怖じすることなく対応していて、大物出現の予感。
山本耕平は、すでに何度か聴いている。自分でも認めているように、tenore lirico leggeroという声質だから、得意とする演目は自ずと限られるだろう。Antonino SiragusaやJuan Diego Floresの系統だろうか。国内では、藤原の中井亮一も多分。
しかし山本耕平、幼児の頃からピアノを習っていたのはいいとして、音楽家としてはクラリネット奏者からスタートしたという。歌手に転向しても当初はバスだったというから驚きだ。テノールに転向してよかったと思う。この小柄な体で、童顔だから、そこから低音を出されても面食らうことは必定。さらに、オペラでは役がつかないと思う。
最後に歌ったベルモンテのアリアでは、男声では比較的珍しいアジリタを聞かせてくれた。コロラトゥーラは男声にはあまり使われる用語ではないと青島広志先生の説明。すなわち、メリスマを歌う技術がコロラトゥーラであり、アジリタで、女声の高音部の場合がコロラトゥーラということでよいのだろう。
#42 (文中一部敬称略)