100925 TOHOシネマズ・シャンテ 原題:THE LAST STATION 112分 独露合作映画なれど、ほとんどハリウッド製と同じだ。言語も出演者も。
世界三大悪妻(ソクラテスの妻クサンティッペ、モーツァルト夫人コンスタンツェと並んで)の一人と言われるトルストイ夫人だが、勿論こうしたことは後世のでっち上げ。妻としてはごく普通の人物としてこの作品では描かれている。
トルストイがその絶対的信奉者から奉られ、崇められ、森の中で新しい運動にのめり込む余り、著作権を含む全財産権を放棄するよう説得されかかっていることに気づいた妻、ソフィアが捨て身の徹底抗戦を挑むというもの。
トルストイの弟子で信奉者チェルトコフ(ジャマッティ)をソフィアは蛇蝎の如く嫌う。
二人の間には濃密な愛情がありながら、トルストイは信奉者と妻の間で、気持ちが揺れ動きとうとう耐えきれず、どこへともなく逃避してしまう。そしてとある寒村で最後を迎えるというお話。なかなかうまく作ってある。
トルストイを演じるプラマーが凄い。これがあのフォン・トラップ大佐かと思うほどの変貌ぶり。雰囲気、すごくよく出している。それ以上の出来栄えはエリザベス女王を演じたヘレン・ミレン。何と見事な演技でせうか。この二人がしっかり全体を支え、一方マカヴォイやジャマンの脇役陣が手堅い演技で更に肉付けした結果、骨太の作品に仕上がったと思う。
ちょっと押さえめのカラー彩度が、ヤースナヤ・ポリアーナ(行ったこたーないけど)らしさを演出しているように思えた。
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