ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 」

f:id:grappatei:20101001053656j:image:left100930 スェーデン/デンマーク/ドイツ 148分 

シリーズ最終章。6時間を超えるこの北欧サガもとうとう完結編へ。1作目は推理とサスペンス、2作目はアクション、そして3作目は法廷ドラマと、それぞれに特徴を持たせた全体構成が見事だ。

比較するのもどうかと思うが「ゴッドファーザー」にも匹敵する面白さだ。3作品とも稀に見る息詰まるような展開で、だれる場面は皆無と言えるのは、まずは原作(2600万部の売上)、そして脚本の冴えだろうか。

主人公リスペット・サランデルの人物像が際立っている。身長僅かに150cm、大型揃いの北欧人の中ではほぼ子供並だ。しかし、存在感は圧倒的だ。背中一杯に彫られたドラゴンのタトゥー、ワックスで逆立てたヘアスタイル、鼻ピアス、黒基調でド派手なアイシャドー、黒の革ジャンで大型バイクを乗りこなす天才ハッカーというから、ハンパじゃない。

幼少時から過酷な運命にもてあそばれ、大人、とりわけ男性への不信感が片時も消えることはない。それゆえ、常に寡黙無表情で、極端に感情を押し殺していて、傍目には何を考えているか、伺い知ることは不可。

本作では、重傷を負いながらも、雑誌「ミレニアム」の編集長ミカエルのお陰で、奇跡的に一命を取り留めたものの、父親殺しの罪で拘置所に収監される身。まずは入院して治療に専念するが、魔の手が病院にもしのびよる。実は、この事件を追いつめたと思うミカエルも想像を超える政府高官を巻き込んだ巨大な陰謀が蠢いていて、鍵を握るリスベットやミカエルを亡きものにしようと必死の反撃を試みるが・・・・。

結局膨大な証拠資料を入手されてしまった一味に勝ち目はなく、法廷では最後に大どんでん返しで、万事休す。独自に内偵を進めていた公安警察も一気に動き出し、一味を一網打尽に。法廷審議進行と並行して関係者が次々に武装警察にしょっ引かれ、大団円、と見せかけて、更に最後に見せ場を作るところなど、実に心憎い演出だ。傑作。

リスベットを演じるノオミ・ラパスは文句なく素晴らしいが、ミカエルを演じるリンクィストも、茫洋とした表情の中にも、優しさと寛容さを併せ持つ役柄を巧みに演じていた。昔はベルイマンなどの作品を見る機会があったが、最近北欧映画を見ることは滅多にない。それだけに、こういう質の高い作品を見逃すのは惜しい気がする。
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