ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「シチリア! シチリア!」

f:id:grappatei:20101222151307j:image:left101222 川崎チネチッタ 原題:Barria 久しぶりに本格的イタリア映画を見た。2時間半と長い。(だれる場面も少なからず)
彼の監督作品で日本公開されたのは僅か9本。勿論、1989年の「ニュー・シネマ・パラダイス」は大ヒットだったが、他にもこれまた

自伝的な「マレーナ」や「海の上のピアニスト」も素晴らしかった。直近では、「題名のない子守唄」(2006)があるが、余りトルナトーレらしくない作品。

その点、本作はシネパラやマレーナの流れを汲むもで、彼の生まれた町が舞台になっている。BarriaはBagheria(バゲリーア)の地元訛りとか。シチリアの主邑、パレルモの隣町であり、シネパラの舞台コルレオーネ村や撮影されたパラッツォ・アドリアーノにも近い。ただ、原題をそのままカタカナに置き換えただけでは、訳が分からないため、邦題は何と観光ポスターの如きタイトルとなった。しかも!!まで入れる凝りよう。シチリア島観光局はさぞ喜んでいるだろう。
f:id:grappatei:20101222152730j:image
f:id:grappatei:20101222152727j:image
上は町の全貌。下は大聖堂のある中心地。何となく埃っぽい感じだ。
時代も、彼の自伝的叙事詩的作品ゆえ、1940年頃からの半世紀余りを、ある家族三代に亘る、まさに波乱万丈の物語となっている。ただ、トルナトーレ監督作品だからと勝手な期待を持って見ると若干裏切られることになる。どうも見たようなシーンが次から次へと登場し、いささか白けることもある。「副王家の一族」(2007)、「山猫」(ヴィスコンティ、 1963年)、「誘惑されて棄てられて」(ジェルミ、1963年)などからの類似場面の多いこと。まー、シチリアという言わば特殊世界だから、と思えばいいのかも知れないが。
f:id:grappatei:20101222153025j:image
主役の一族。いずれもなかなかシチリアっぽい面構えだ。
出演者は主役を含め、日本ではほぼ無名。マルガレット・マデカターニア出身のモデルとか。愚亭は余り魅力を感じなかったが。それより、何と「マレーナ」で主役を張ったあのモニカ・ベルッチさんがワンカットだけ登場している。クレジットで知ったのだが、同姓の別人かと思って、調べたら、やはり本人。終盤、工事現場でのキスシーンを授業中の生徒が見つけて騒然となる場面。お見逃しなく。

#61(画像はALLCINEMA on lineから)