120914 心理的に遠いと決めつけて、これまで敬遠していたリリア・ホールに初めて行った。
駅から1分は間違っていなかった。最高のアクセス。
ふと目を転じれば、こんな空間が。これまで抱いていた川口イメージの崩壊。
お目当ての佐藤篤子さん出演のこの演目、帰国2日目できっと何度も睡魔に襲われる覚悟で。昨年のルナノバ公演「セヴィリアの理髪師」は丁度旅行中で、せっかくご招待いただきながら、友人夫妻に譲ったこともあり、今年は旅行日程を調整しての観劇。
その甲斐あって、素晴らしい公演にただどっぷりと感激に浸らせてもらった。合唱も、確かに少数精鋭、息がぴったりで見事!朴令鈴さんのピアノがまた凄かった。この長丁場、まったく乱れることなく弾き切った体力と技術には素直に脱帽!このホール、大きなパイプオルガンがあるので、演奏者の動線となるテラス部分を巧みに利用した今井演出の冴えも堪能。
ソリストでは、タイトルロールを演じた増原英也氏、初めて聴かせてもらったけど、もうびっくり!こういう風にリゴレットを歌える日本人もいるんだと、嬉しくなった。
⬆チラシにもあるように、今井演出ではリゴレットにチャップリンをかぶせるという、大変ユニークな発想なので、こういういでたちの増原英也氏。ヒゲは既に取れちゃっているが。おつかれさん!!
そして・・・⬆佐藤篤子さん。この日の為にひたすら研鑽を続けただけあって、見事なジルダを演じ切ってくれた。ジルダの登場は他の役よりかなり後になるので、まさに満を持しての登場。冒頭部分は正直、「あれ?ちょっといつもの佐藤篤子じゃないな」だったが、そこはすぐ体勢を立て直し、終わってみればこれ以上ないジルダだった。
「慕わしき御名」は大学1年、折から来日公演中だったイタリア歌劇団のこの演目で、ガブリエッラ・トゥッチが歌ったもの。今日はそれ以来の感激を味わった。
それに、彼女、日本人としては上背もあるし、ご覧の美形だから、舞台映えのすること!
マントヴァ公爵の大川信之氏、ド迫力満開。あのホール、響きがよいけど、そのせいではなく、本当に凄い声が迸っていた。それにイヤラしさも全開でした。
スパラフチーレの東原貞彦氏(日本人離れの体躯、この役にぴったり)、モンテローネの志村文彦氏(バカでかい声!)、マッダレーナの福間章子さん(ふくよか美人)、チェプラーノ夫人の大須賀園枝さん(赤いドレスがよく似合う、スウィートでキュート)、いずれも存在感タップリで、それぞれ印象深い舞台作りに貢献されていた。写真が撮れなかったのが残念至極。
出演者、スタッフのみなさんが、終演後、ただちにロビーに出られて、観客と交歓されていたのは、オペラファンとしては、大変嬉しいこと。皆さん、お疲れなのに、本当にありがたい。
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