121015 銀座テアトル・シネマ 原題:LES LYONNAIS (リヨン人たち)[監]オリヴィエ・マルシャル
1970年代に社会を震撼させた伝説的ギャング、エドモン・ヴィダル(通称モモン)の自伝を基に作られた作品。あの時代、「セルクル・ルージュ」、「サムライ」、「シシリアン」、「フリック・ストーリー」、「スコルピオ」などなど、ギャングとそれを追う刑事を扱った作品が数多く作られたが、そんな流れを彷彿とさせる作品。
結構見応えがあったのに、日本での扱いが極めてマイナーなのは何故か。しかも俳優もジェラール・ランバン、チェッキー・カリョという、濃いめのギャング顔を使っているのに、不思議なほど地味な扱い。
この邦題は見事。原題は単にギャングがリヨン出身者ということで付けられたと思うが、明らかにインパクトに欠ける。
ジプシー(ジタン)出身ゆえ仲間はずれにされるモモンを子供時代にかばったセルジュ、以来兄弟同様に成長し、いつの間にやら悪の道へ。それも還暦を迎える今、モモンは足をすっぱり洗って家族との幸せな生活を楽しんでいる。
一方のセルジュは抜け出せず逃亡生活を続けた後、逮捕、投獄と明暗が別れる。しかし、兄弟以上に強い絆で結ばれている以上、モモンは放っておけず、ついに決断を。
仲間同士の裏切りやらたれ込みやら、警察との駆け引きなど、お定まりの展開だが、緻密に描かれていて、派手なドンパチやカーチェイスがない割に、見応えズッシリ。
新味と言えば、クレジットカードの淵に、モモンが黙々とカミソリを当てている場面。まさかこれで殺人?武器を持ち込んで正面玄関から堂々とは入れないからねー、考えたものだ。
それと、モモンの愛犬をみせしめに夜陰にまぎれて吊るすところは、「ゴッドファーザー」で、愛馬の首を切断した上、ベッドに忍ばせる場面を思わせる。
それにしても、あの時代のフランスの名車(ルノー4、シトロエンDSシリーズなどなど)を随分集めたものと思う。よほど撮影用にストックしてあるのだろうか。
#71 画像はALLCINEMA on line