ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「声をかくす人」

121205 銀座テアトル・シネマ 原題:THE CONSPIRATOR(共犯者)邦題が断然優れている。やはり女性客を意識したタイトルの付け方である。監督:ロバート・レッドフォード(76)。俳優出身の先輩、クリント・イーストウッドに負けじといい映画を作った。

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何故かリンカーン関連の作品がこのところ3本続けて公開される。尤もこの作品は彼を暗殺した犯人達を取り上げた話。しかも、下手人は当然としても、彼らが謀議をこらしたとされる下宿を営むメリー・スラット(ロビン・ライト)を、共犯とし、それも軍法裁判で裁いて、死刑に処するという、言わば米裁判史上の汚点とも言える出来事を描く。因に、このメリー・スラットが合衆国で初めて死刑にされた女性。

このスラットを弁護するフレデリック・エイキン(ジェームス・マカヴォイ)は、南北戦争で北軍として戦って武勲を立てたが、戦後は元の弁護士に戻る。スラットを弁護することには当然ながら抵抗があり、断り続けるが上司に説き伏せられて渋々引き受けた案件だったのに、裁判が進行するうちに弁護士魂に火がつき、一刻も早く事件の決着をつけようとする軍上層部に徹底的に対抗するのだが・・・。

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とうとう「その時」を迎えてしまうメリー・スラット。彼女の一人息子ジョン・スラットも下手人の一人だが、逃亡中。言わばその身代わりとして刑場に向かう彼女の心境、いかばかりか。ロビン・ライトの抑えた演技は素晴らしい。

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➡は上司、元司法長官。演じるトム・ウィルキンソン、イギリス人だが最近米映画への出演機会が増え、米語もすっかり板に付いている。左のジェームス・マカヴォイ、少々甘っちょろい顔立ちがこの役には向いていないように感じた。

他に陸軍長官スタントンを演じるケヴィン・クラインの演技もさすがであり、この作品に厚みを加えている。

#86 画像はALLCINEMA on line