ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像」

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130516 東京都美術館 高齢者無料鑑賞日、上野へ。閉館45分前の入館だから、さすがにゆったり見ることができた。貴重なアトランティコ手稿が初めて展示され、大変な触れ込みだが、凝りすぎた照明のせいで、ぼんやりとしか見えないのが誠に残念。脇に解説があって、かろうじて内容が分かるという程度で、ストレスが溜まる。

全部で109点だが、油彩は1点のみ。そもそも油彩を生涯で19点しか描いていない天才画家ゆえ、その1点が見られるだけでも、この展覧会は価値があると言える。

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男性の肖像画は、他に「洗礼者ヨハネ」(ルーブル美術館蔵)が一点あるだけで、極めて貴重な作品だ。「音楽家の肖像」というタイトルだが、右手で持っているものに音符が見えるところからの後世の推量。友人の音楽家アタランタ・ミリオロッティとする見解が有力。

暗い背景にぼんやりと照らされた肖像画は、レオナルドらしい、大変緻密な筆致で描かれている。赤い帽子の下の巻き毛の一本一本まで繊細に浮かび上がる。音楽家にしては太い首、頑丈そうなあご、左右比対称のまぶた、いかつい鼻といい、意思の強そうな顔である。どこか哀愁を漂わせる双眸が凝視する先には一体何があろのだろう。