ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「夏目漱石の美術世界展」”ブロガー特別内覧会”

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130531 今回も有り難いことに抽選の結果、当選させていただき、いそいそと暮れなずむ上野の杜へ。帰りを急ぐ美大生と逆方向に、当方は会場の芸大美術館へ急ぐ。

本展の概要は、サイトから抜粋すると、

この展覧会は、夏目漱石(1867~1916)の美術世界に焦点をあてるもの。漱石が日本美術やイギリス美術に造詣が深く、作品のなかにもしばしば言及されていることは、多くの研究者が指摘するところだが、実際に関連する美術作品を展示して漱石がもっていたイメージを視覚的に読み解いていく機会はほとんどなかった。

  この展覧会では、漱石の文学作品や美術批評に登場する画家、作品を可能なかぎり集めてみた。伊藤若冲渡辺崋山、ターナー、ミレイ、青木繁黒田清輝横山大観といった古今東西の画家たちの作品を、漱石の眼を通して見直してみることになる。

  また、漱石の美術世界は自身が好んで描いた南画山水にも表れている。漢詩の優れた素養を背景に描かれた文字通りの文人画に、彼の理想の境地を探る。

   本展ではさらに、漱石の美術世界をその周辺へと広げ、親交のあった浅井忠、橋口五葉らの作品を紹介するとともに、彼らがかかわった漱石作品の装幀や挿絵なども紹介。当時流行したアール・ヌーヴォーが取り入れられたブックデザインは、デザイン史のうえでも見過ごせない。漱石ファン待望の夢の展覧会が、今、現実のものとなる。

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 まずは入口近くのホールでガイダンスがある。主催者側からの注意事項の後、本展企画・監修を担当された芸大准教授である古田亮氏から概要説明をいただく。

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最近、よくNHKの「日曜美術館」に登場されているので、顔なじみだ。抱えているのは図録と今回の美術展が特集されている「芸術新潮」。図録は主催者から一部ずついただいた。⬇

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入館すると、さっそくブロガー達が限られた時間内にいい写真を撮ろうと、慌ただしげだ。自分もその一人だが。

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一点撮りは不可なので、こんな具合だ。

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漱石の「坊ちゃん」に登場するターナーの「金枝」

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手前は黒田清輝の「婦人図{厨房}」と左側に原口画伯作『森の女』(推定試作)要するに、小説の中に登場するシーンを元にして佐藤央育画伯が想像して描いた、実に興味深き作品。「三四郎」を何度も読み返して画想を練ったらしい。他にも「虞美人草」に登場する酒井抱一画伯作の屏風の2点がひときわ異彩を放っている。

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 ブリトン・リヴェイエアー「ガダラの奇跡」漱石の「夢十夜」の最後に登場する、キリストが起こした奇跡を扱った作品。

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エヴァレット・ミレイ「倫敦塔幽閉の王子」。漱石の「倫敦塔」に出てくる。同じく緊迫した、有名なこのシーンを扱ったものにフランス人ポール・ド・ラ・ロッシュの作品(ロンドンのウォレス・コレクション)がある。恐怖におののく二人の凍り付いた表情が印象的である。

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 坂本繁二郎の作品「うすれ日」と「海岸の牛」

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「三四郎」に登場する、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスの「人魚」

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最後の方に漱石自身の手になる水墨画や南宋画が展示されていて、これまたきわめて興味深い。確かに技巧的には素人の域を出てないのは認めざるを得ないが、賛が凝っているのと字に深い味わいがあるところに、漱石の並々ならぬ才能が見て取れる。

なお、本展覧会は東京芸術大学大学美術館にて、5/14~7/7の期間、公開され、後、巡回予定。➡静岡県立美術館(7/13~8/25)

上記写真は美術館から特別許可をいただき、撮影したものです。また、冒頭のカットは公式サイトの画面からお借りしたものです。

美術館への道すがら、中央広場では「さつき」展が。

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