130625
ブロガー特別内覧会へ参加。浮世絵はさほど趣味ではないが、冒頭の解説を聞いて、案外興味が持てた。これまで海外も含めて数限りなく観ているものの、賞でるポイントがイマイチよく分からない。
いつものように、先ずは中村剛氏から挨拶と簡単な説明の後、当館学芸グループ長の野口玲一氏から、展示作品のみどころや斎藤コレクションについて詳細解説をいただいた。その後も別の学芸員から、協賛企業選定の苦労話なども伺った。
三菱一号館美術館はもともと19世紀末の西洋画を中心に展示すると位置づけており、それが「売り」のようなところがあるので、今回浮世絵展に踏み切るには若干の葛藤があったらしい。そこで、同館らしさを出すための工夫の一つが、同館が多数所蔵する同時代で浮世絵の影響を受けた西洋画家の作品を併せて展示すること。
確かに、これは他では味わえない展示手法だろう。考えたものだ。近代絵画、とりわけ印象派画家たちに浮世絵が与えた影響が計り知れないことは、いわゆるジャポニズムという用語があることでも明らか。同館は19世紀末、つまり印象派の画家たちが活躍した、丁度その頃に丸の内に最初に建築された三菱の西洋建築物であることを考えると、まことに時宜を得た展覧会と言える。
今回は3期に分けての展示になるため、今日観られるのは第一期分のみだったのが、多少心残りであったが、嬉しいことに招待券もいただいたので、他の2期の作品も無料で観られそうだ。詳細は当館のHP http://mimt.jp/ukiyoe/about.html#outline で。
今回 は、一点撮りも含めて特別に撮影許可いただけたので、以下撮影した一部を紹介。
肉筆浮世絵も斎藤コレクションは多数所蔵していて、このコーナーの一角で冒頭の説明会が行われた。参加者は床にクッションを敷いて拝聴。ちょっと疲れるなぁ、この方式は。しかし椅子を多数用意するのも館側にすれば、大変だろう。30分のことだから、我慢。
鈴木春信 風流やつし蘆葉達磨
鈴木春信 風流やつし小野道風
初代歌川豊国 江戸両国すずみの図 五枚つづき
ピエール・ボナール 家族の情景 同館所蔵の、同時代で浮世絵の影響を受けた画家の作品も並べて展示してあるのが、まことに興味深い。
初代歌川豊国 両国花火之図
役者地顔六玉川 調布の玉川 三代目坂東三津五郎
役者地顔六玉川 萩の玉川 三代目中村歌右衛門
役者地顔六玉川 千鳥の玉川 初代沢村源之助
東洲斎写楽 二代目市川門之助の伊達与作
ウジェーヌ・グラッセ 硫酸魔
アンリ・ドゥ・トゥールーズ・ロートレック マルセル・ダンデール嬢、胸像
喜多川歌麿 女織蚕手業草 一部
喜多川歌麿 柿もぎ
トゥルーズ=ロートレック ジャヌ・アヴリル
今回貸し出しに応じた斎藤コレクションについては、HPに詳しいが、冒頭のトークショーで、今回の出展に春画が一点もないことに触れて、面白い逸話が紹介された。浮世絵蒐集開始に当たって、斎藤夫人から一つの条件が出されたとか。それは、まだ幼かった子息たちの教育上よろしくないから、春画は一切含めないという条件。なんとなく、微笑ましい。