ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

歌劇「蝶々夫人」@春秋座(京都造形芸術大学)

130707

f:id:grappatei:20130709172901j:plain

ご贔屓の江口二美さんがついに蝶々夫人で故郷に錦を飾った(古いね、表現が)。この機会にカミさんも行きたいと言い出し、二人で琵琶湖へ。江口さんの故郷は瀬田ということで、我々も京都でなく琵琶湖に泊まることにした。江口さんのご母堂がやっている「おごじょ庵」が瀬田の駅前に。

f:id:grappatei:20130709173709j:plain

蝶々夫人のチラシが見える。

f:id:grappatei:20130709173738j:plain

右がご母堂。お若い!

f:id:grappatei:20130709173811j:plain

季節柄、中央には鱧が

f:id:grappatei:20130709173835j:plain

差し入れていただいたカツオのたたき

 

さて、「マダム・バタフライ」、上演されたのは京都造形芸術大学構内にある春秋座。こじんまりしているが、800席以上はあるようだ。2階席もあるし、歌舞伎も上演されるので花道があり、オケピットも取れる。

f:id:grappatei:20130709174400j:plain

歌舞伎仕様ではこのような感じだが、オペラなので、左右の仕様は変えてある。そして、今回は、この花道をいかにも効果的に使用して、うまく盛り上げた演出は大成功と言えるだろう。

蝶々さんの江口さん、だいぶ以前にも演じているらしいが、近年では久々の本公演とあって、稽古もみっちり積まれ、その一部始終はfacebookやブログで綴ってあった。

相手役の笛田博昭さんは今売り出し中の気鋭のテノールで、相手に取って、勿論不足はまったくないというところだろう。上背もあり白い海軍服がよく似合う。

幕が開くと、正面奥に枝ぶりも見事な古木がどっしりと見える。そして人物二人が手前の紗幕を通してシルエットに見える。やがて照明が当たり、はっきり姿を現す。ところが、この幕、ただの紗ではない。どういう仕掛けか、幕の手前に人物が来ると、後ろ姿が反射して見えるというスグレモノ。この効果を巧みに操った演出にも驚かされた。

前半、最も緊張するラスト20分の愛の二重唱も、見事に歌い上げ、演技もばっちりだ。やれやれ、前半の山場は越えた。20分の休憩後、いよいよ後半。蝶々さんは聞かせどころ、見せ場が続くから気が抜けない。

スズキやシャープレス、ヤマドリなど入り乱れて登場して、ピンカートン乗船のアブラハム・リンカーン号が長崎へ入港。「ある晴れた日に」、「花の二重唱」、間奏曲、ピンカートンの詠唱「さよなら、愛の巣よ」があって、いよいよだ。もうこの辺でドキドキする。蝶々さん、うまく死ねるだろうか。どんな演出だろう。期待と不安が入り交じる。

今回はミラノ初演版ということで、普段見慣れた進行とはこの辺り、かなり違って来る。子供の出番が多いし、セリフも吐かせる。またピンカートンに同行する米人妻のケイトも出番が多い。これにはちょっと違和感がある。しかも、子供を預けるんだろうね、とそればかり気にする人物にしてあるから、余計蝶々さんに同情が集中する。

そしてピンカートンが現れる(実際は出て来ないが)寸前に、慌てて短刀を胸に突き立てて、真っ赤な花びらが舞い落ちて来るという演出。

総合的には実によく出来た公演だったと思う。過去何十回と見た中ではベストの部類だ。

f:id:grappatei:20130709180754j:plain

 

f:id:grappatei:20130709180807j:plain

(画像掲載許可は事前にいただいています。)

#29