130723 キネカ大森 英語タイトル:LIFE WITHOUT PRINCIPLE(主義なき人生)香港 106分 [監]ジョニー・トー(「エグザイル/絆」、「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」)すこぶる痛快なクライム・サスペンス。
香港映画というのは、独特の明るさというか、あっけらかんとしたところがいい。それに繁体字に郷愁に似たものを感じて、中国映画や韓国映画とは異なる親しみを抱く。
市井の人々の日々の営みが、突然発生した大事件によって無惨にも断たれてしまう。それが天変地異であれ、株の大暴落やバブル崩壊であれ。
今が買い時と新しいマンション購入を妻に迫られる香港警察のチョン警部補だが、仕事を言い訳にその場逃れを繰り返し、妻はブチ切れ。しかし、チョンが命がけで事件解決に成功すると・・・
銀行員のテレサ、金融商品の営業で仲間に差をつけられ、このままでは首になりそう。相談に来た中年女性客に、僅かに良心がとがめつつも、リスクの高い商品を買わせてしまう。
調子がばかにいいが義理人情に厚いヤクザのパンサーは兄貴分の保釈金捻出に奔走、同郷の投資会社社長に相談し、面倒を見てもらう。
これら3つのストーリーが同時進行し、そこへギリシャ債務危機で、株価大暴落。それぞれが大混乱に陥る。そうした流れが微妙な時間差で交錯し、奇妙なエンディングが、思わず笑みがこぼれるほど洒落ている。
#57 画像はALLCINEMA on line