ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

やっと「ターナー展」へ

131114 快晴の今日、某新聞社からいただいた招待券を持って、上野へ。お昼時を狙えば多少空いているかと、12時少し前に入館。まったく列は出来ていなかったが、中はそれなりに。ガラガラからはほど遠いが、それでもうまく回れば割に楽に見ることができた。

第1章 初期 15点 油彩は3点で、どれも小品。ほとんどは水彩

第2章 「崇高」の追求 13点 本格的油彩が加わる。

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ここら辺までは、かなり細かい筆づかいが印象的だ。

第3章 戦時下の牧歌的風景 15点 色彩の習作などが多く見られる。

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第4章 イタリア 8点 英国でグランド・ツアーが流行していた時代。画家たちも多くはフランスやイタリアを目指した。

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これはバカでかい作品。右の人物はラファエロ。自分の作品を陳列している面白い構図。丁度ラファエロ没後300年で、彼に対するオマージュだろう。バチカンのサンピエトロ寺院からのローマの眺め。バチカンの楕円形の柱廊の向こうにサンタンジェロ城が見える。

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発表して8年後に加筆している作品。こういうことはしばしばターナーは行ったらしい。どこからが完成に至るのか、本人以外には分からない。

これは古代ローマの将軍レグルスが囚われの身となり、まぶたを切られて外に引き出され強烈な太陽の光を浴びて失明する瞬間を描いたものとされる。目も眩むようなまぶしい光が中央奥から手前に広がる場面は光と大気を自由に描き分けたターナーにしか描けないと言われたと解説にある。

第5章 英国における新たな平和 17点 大作などの準備のための習作、原画が中心。

第6章 色彩と雰囲気をめぐる実験 9点 さぁ、いよいよターナーらしい作品の序奏。ターナー愛用の金属製絵具箱なども展示されている。彼の支援者で、客人として招かれ滞在したペットワース・ハウスの内部を描いた小品なども。

第7章 14点 ルーアン、パリ、アオスタ、ルクセンブルグ、ジュネーブなどへ旅した際に制作したスケッチがメイン。油彩は「ハイデルベルク」1点のみ。かなりの大作。

第8章 ヴェネツィア 8点

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光と大気がきらめくようなヴェネツィアを描き出す。何ともゴージャスだ。

第9章 後期の海景画 10点 「日の出」、「暴風雨」など自然が対象になった作品群。

第10章 晩年の作品 7点

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抽象画のような光のうつろいのみが描かれた作品。

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画家の友人、デイビッド・ウィルキーの葬儀の模様を描いたとされる。批評家のジョン・ラスキンはこの黒は濃すぎると評したらしいが、それを伝え聞いたターナーはもっと黒くしたかったと述懐したとか。

と言う訳でスケッチなども含むが、116点ものターナー作品が並ぶのは壮観。滅多にない機会だけにまことに貴重。こんなに日本に行っちゃって、テート・ギャラリーは問題ないのか些か気になるところだが、2万点も所蔵しているから、この程度が国外に出ててもへっちゃらだそうだ。