140520 幸いにもブロガー内覧会に参加する機会を得た。まずは3階のミュージアムコーンでチェックイン。約100名が午後6時半、森ビル52階の会場入口⬇に集結。参加証と共に、本展展示作品が両面にデザインされた特製バインダーが配布された。非売品だけに価値がありそう。
圧倒的に女性が多いのは、当然か。因に、上の作品は、誰でも想像出来るがアンリ・ルソーが描いたもの。子供のあどけなさというより、寧ろ大人びた表情で、身体もごっつく、いかにもルソーが描きそうな作品である。
6時半から7時まで、竹内まりやナビゲーターによる音声ガイド(25点ほどの説明)を借りて、自由に見学。特定の章を除いて、撮影自由。但し1点撮りは、毎度のことだが不可。必ず、2点以上、あるいは見学者を入れるようにという注意が主催者側からあった。
章建ては、以下の通り。
序章
第1章:家族
第2章:模範的な子どもたち
第3章:印象派
第6章:20世紀のレアリスト
そして、7時から中山三善エキシビション・ディレクターからご挨拶と概要説明、更に主要作品については、絵の前で丁寧な解説をいただいた。
それによると、本展覧会は、パリのオランジュリーでLes Enfants Moèles(「モデルとなった子供たち」)というタイトルで開催され、実に20万人を動員するという大好評のうちに終了したものを、日本向けに再構成したという。更に今回展示の約90点中、日本初公開が2/3を占め、全体の半分は個人蔵であるだけに、こうして一堂に会して見られるのは実に贅沢なことと言えよう。
開催のきっかけは、オランジュリーの元館長であるエマニュエル・ブレオン女史が名門デュビュッフ家の末裔の一人で、先祖代々、画家を輩出(⬇の家系図、ちょっと見にくいが赤く図示された部分)し、また何人かが子供時代にモデルになった名画が少なくないので、一度、それらを集めて展示するのも意義あることと思ったからのようだ。
以下、主要作品。(本展HPから借用した)
左下の犬がかわいい。
ウジェーヌ・マネはエドゥアールの弟。ベルト・モリゾは、一時期エドゥアールとも深い関係にあったらしい恋多き女である。上の娘はジュリー・マネで、何度もモデルとして登場し、長じて自身、絵を描き始める。血は争えない。
そのジュリー・マネである。非常に特徴的な目が強く印象に残る。ルノワールは彼女の後見人になっている。
⬆さすが知の巨人、幼少時代からかくも凛々しい姿である。
これは今回一番大きな作品。1889年、フランスに義務教育制度が制定されたが、それを記念してか、この作品は美術館でなく、フランスの文科省に当たる国民教育省の大臣室の控えの間に飾られているとか。後列(右端)に座る低学年児たちは、繰り返し使える石盤を使用させられている。
最近、固定マイクと、胴体には小型スピーカーを装着して解説してくれるので、よく聞き取れてありがたい。右は中山三善氏。
すぐに分かるルノワールの作品。これは長男ピエール。当時はこうして7歳ぐらいまで女装させられているのが普通だったようだ。理由は男の子の方が幼児死亡率が高かったことによる。日本でも、ほぼ同様のことは行われていた。
右端は次男のジャン(後に映画監督になる)
クロード・モネの息子たち。さすがにこうした作品は長く手元に置いていたようだ。父親としては、手放す気にはならなかったろう。
モーリス・ドニの「トランペットを吹くアコ」。彼も繰り返し自分の子供たちの絵を残している。いかにも父親としての愛情に溢れた作品群。
前出の「ジュリー・マネの肖像、或は猫を抱く少女」
ということで、8時近くまでたっぷりと鑑賞してきた。こうした切り口での展覧会は珍しいし、この機会を逃すと、日本で一気に見られるチャンスは二度とないかも知れない。
なお、上の画像は、美術館から特別に撮影許可を得て撮影したものです。