140721 日声協主催のこの海の日恒例のシリーズも既に12回目。
まさに珠玉と言える日本を代表するようなオペラ歌手の勢揃い。定刻18時を回ったところで、ピアニストの服部容子さんが登場。すぐ演奏を始めると客席の後ろから「ラー・ラララ・ラララ・ラララ・ラー」とバリトンの萩原潤さんが勢い良く歌い始める。こうして16人の歌手たちが一人一曲という贅沢なプログラムで、たっぷり2時間余り。
トークがなくてスッキリは、いつものスタイルだが、曲目紹介などやっていては、時間がなくなっちゃうからねぇ〜。演奏会はすべからく、できれば下手なトークや、要らぬ曲目紹介なしで、どんどん進行して欲しいと思っちゃうが、ま、そうも行かない事情もあるんだろうね。
予約したのが、一般の売り出し初日だったので、中央前よりの7列25番という立派な席が取れてラッキーだった。勿論満員の盛況。客席には、今回プロの方では佐藤しのぶさんぐらいしか知っている姿はなかった。たいがい幕間には毎回誰かには会うのだが。
先日、渋谷のさくらホールで聞いたばかりの竹多倫子さん、昨年の日本音楽コンクール優勝の栄誉を引っさげての初登場。この方、2011の日伊コンコルソも仕留めているから、やはり希有な実力者なんだろう。安定感抜群の歌唱は確かにグッと心に響くものがあるなぁ。
第1部では、トリを歌った西村悟氏、若さ溢れる歌唱は聞いていて壮快感たっぷりで、高い将来性は衆目の一致するところだろう。楽しみだ。
第2部のカルミナブラーナでは、久々に大久保陽子さんを拝見・拝聴。相変わらず上背の高さが目立つ。ちょっと怒ったような表情に特徴が。1曲だけはチト寂しいが、でもここに出演しただけでも大したもの。方やベテランの青山貴さんはいつもの福々しい表情だけど、歌唱はなかなかお顔に似合わず厳しく味わい深い。
第3部は、ヴェテラン勢、大御所の登場となる。そんな中に混じって、一人若いソプラノが。三宅理恵さん、今年の出し物はお得意の「きらきら星変奏曲」。何気なく歌い始めるが、途中、超絶技巧が何度も。理恵さんならではの選曲。
今回気付いたことが。それは、ヴェラン勢は登場する際、一様にむっつりとしていて、中には退場するまで、まったく無表情の人が多いことだ。その点、若手はにこやかに登場する。竹多さんは初登場ということも、また性格的なこともあるのかも。三宅理恵さんはいつもの通り、まことにチャーミングな笑顔を絶やさず、やはりこころなごむものがある。
大御所たちの歌唱は、そりゃ最盛時に比べりゃ、高音の伸びも低音の響きも期待できないかもしれないが、やはり年輪というか、風格というか、味わいの深さが断然ちがうねぇ。それが川上洋司さん、伊原直子さんであり、高橋啓三さんです。ご苦労様でした!
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