ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ドン・パスクアーレ」のゲネプロを日生劇場で見る

160630 歌劇ドン・パスクアーレは、ドニゼッティが1843年に作曲したオペラブッファで、のちにヴェルディファルスタッフが登場するまでは、「セヴィリアの理髪師」(ロッシーニ)、「愛の妙薬」(ドニゼッティ)と並ぶ三大喜歌劇だったとか。

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バスが主役というオペラは、かなり限られており、華やかさに欠ける点は否めず、さらには目立ったアリアが連続するわけではないと来れば、公演回数も多くはない。それでも敢えて上演に踏み切るには、それなりの勝算があってのことだろう。

今回の布陣をみれば、すぐ分かるが、どちらの組もかなりの役者を揃えている。登場人物が多くないだけだけに、しかも地味な展開だから、個人個人の技量が大きく試されることになる。

愚亭が見たのは、上のチラシで赤く囲った歌手たちのチーム。坂口裕子さん以外は、これまで聞いたことがあり、歌唱も演技も素晴らしいことは承知していたが、坂口さんについては、多分、初めて聴かせてもらったようだ。金はあるが頑固一徹のドン・パスクアーレを手玉にとる役どころを、いかにも天真爛漫に、豊かに、そして楽しげに演じて、踊って、まずまず言うことなしだ。

彼女が第1幕第2場で歌うノリーナのカヴァティーナ、「騎士はあの眼差し」の後半部分が、流麗な"So anch'io la virtù magica" 。最もよく知られた旋律である。下の動画は、アンナ・ネトレプコが歌うその場面。結婚、出産で大きく体型が変わってしまっているネト子だが、歌唱はさらにスケールアップしていることが分かる。

 

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