170308
今年初めて見る邦画は、これになった。作品の評価もさることながら、出演者、特に女優陣の質の高さが評価されているのも見たくなった理由の一つ。
亭主(オダギリ・ジョー)が蒸発したため休業に追い込まれた「幸の湯」、今や大黒柱になってしまった双葉(宮沢りえ)は店員のバイトで一家を支え、実際は血の繋がりのない一人娘の安澄(杉咲 花)は、高校でいじめに遭う日々という設定。
突然末期癌で余命3ヶ月と告げられた双葉は、残された日々をどう輝かせるかに必至となる。手始めに探偵を使って亭主を連れ戻すことにまずは成功。どういうわけか鮎子という幼子が一緒だ。これまたワケありの子供が一家に加わる。血の繋がっていない者同士が、際どいところで結び合せられているのは、双葉の持つ強靭な意思の力に負うところが大きい。
ラストシーンは、双葉の葬儀が「幸の湯」の広い浴槽を使って行われるところ。ちょっと変わった光景だが、この作品にはいかにもふさわしい。そのあと、皆で湯船に浸かり、双葉を偲ぶというところで終わるのだが、その先がいささかどうかと思うような蛇足があり、そこだけが惜しい気がする。
女優陣が素晴らしかった。日本アカデミー賞の主演と助演女優賞を取ったのもむべなるかなだ。鮎子を演じた子役、伊東 蒼も末恐ろしい。松坂桃李の演じた役は、必要なかったな。何か取ってつけたようで、かなり作為的。
#12 画像はALLCINEMA on lineから