180227 MARK FELT: THE MAN WHO BROUGHT DOWN THE WHITEHOUSE (マーク・フェルト、ホワイトハウスを倒した男)米 103分 製作:リドリー・スコット、ピーター・ランズマン、脚本・監督:ピーター・ランデスマン(「パークランド ケネディー暗殺の4日間」2013)
例のウォーターゲート事件の裏舞台を赤裸々に明かした”ディープ・スロート”本人の原作を元に作られたポリティカル・サスペンス・ドラマ。ディープ・スロートは本人自らが名乗ったのではなく、ワシントン・ポスト紙が付けたコードネームで、後年、本人が自分であることを認めたということだ。
ホワイトハウス、CIA, FBI、三つ巴とも言える乱打戦で、結局、ニクソンは任期途中で退任に追い込まれるという史上稀に見るスキャンダル。それがどのように明らかにされて行くかの過程が、これぞ「事実は小説よりも奇なり」で、興味が尽きない。まだまだ、しかし闇は深く、この作品で全容が解明できたのかどうか疑わしい。今のトランプ政権のロシア疑惑にダブル部分が多く、興味深く見た。
冒頭のシーン、ホワイトハウスに呼びつけられたFBI副長官のマーク・フェルト、官邸側から一体いつまでフーヴァーを長官に居座らせるつもりか、と半ば恫喝される。それこそ本人が辞めると言い出すか死ぬまで、どうにもならない訳だ。
官邸の執務室を去り際に、フェルトは「どんな小さなスキャンダルでも、フーヴァーはすべて大事に保管していて、どこでどんな風にそれを利用するか、誰も分からないから、皆さんも気をつけた方がいいですよ。」と恫喝し返す場面が。
⬆︎公衆電話からメディアにリークするマーク・フェルト
さて、そのフーヴァーが急死したから、さあ大変!瞬時に動き出すフェルトたち。ホワイトハウスが乗り込んでくる前に関係ファイルを裁断機にかけたり、焼却したりと作業に追われる。
案の定、時間を置かず乗り込んで来たホワイトハウス関係者には徹底してしらを切る。そして、かれらの干渉を一切排除する。このことから、凄まじい組織vs.組織の、ちょっと日本では考えられないほどの激しい、あらゆる手練手管を総動員する情報戦、騙し合いが始まる。
⬆︎次は自分が座るかも知れないFBI長官の椅子。50年もフーヴァーが座っていただけに感慨深げだ。
結局ホワイトハウスから送り込まれた信任の長官を道連れにして、マーク・フェルト自身も30年勤め上げたFBIを去ることになるのだが・・・
Washington Postの記者が「細部に分け入ると、訳がわかんなくなっちゃって・・」こぼすと、すかさず「そここそが連中の狙いだ。あいつらは周囲の全てを混乱させようとしている。混乱をコントロールしてるのさ。真実だけが政権を揺さぶれるんだぜ」と。
TIMEの記者には、「ホワイトハウスはあらゆる悪事を小分けにして保存してんのさ。ウォーターゲート、スパイ行為、醜聞、腐敗・・・etc.。そうやって、それぞれが実は関連しているってーことを分からないようにしているが、実はそれらが辿り着く先は同じってわけ。」、「なるほど、ウォーターゲートは・・・ゲートウェイ(入口)!?」
退任してから、公聴会に臨むマーク・フェルト。「ほんとにあなたがデイープ・スロートだったんですか?」にどう答える?
やはり加齢は隠しようもない二人、ダイアン・レイン(53) とリアム・ニーソン(65)。それでも、二人ともいい味、出しているなあ。
この邦題はなかなかいい。原題は、どうしてこんなになっちゃうんだろうねぇ。尤も、マーク・フェルトが知られているのなら、文句はないけど。
#17 画像はALLCINEMA on lineから