181113
ど迫力の大作「ばら」
「日本、イタリア・カラーラを中心に国際的に活躍する彫刻家、中村真木の個展。水、風、植物といった自然をテーマにした彫刻作品は、優美で精神性の高さを感じさせる。ミケランジェロ「ピエタ」で用いられた大理石など、カラーラ産大理石を中心に、世界各国の貴重な大理石とブロンズ作品12点を展示。」
以上、主催者のホームページから抜粋。
彼女の作品では珍しいブロンズ製。彫刻したものを、細かい注文をつけてブロンズ専門家に発注するらしい。
Daphne III 106 x 36 x 26cm
父親は外交官で、一時期、大学でイタリア史の講義を受け持っており、愚亭も教え子の一人。その後、イタリア大使館勤務となり、一家でローマへ。彼女は日本とイタリアを行ったり来たり。もともと絵を描くことが好きだったこともあり、高2の時にローマの美術アカデミーへ進学。さらにパリのエコール・デ・ボーザールなどで彫刻家としての腕を磨いたようだ。
愚亭の大学時代、イタリアで何度か出会っている。今回、共通の友人たちと一緒に鑑賞してきた。彼女の作品は2011年秋、実家のある茅ヶ崎の市立美術館開催の個展で鑑賞して以来、7年ぶりに再会することになった。
極めて男性的とも言えるダイナミックなフォルムに、女性的なハーモニーを感じさせる細かいタッチを巧みに組み合わせた作品に特徴がある。
カラーラ時代の作品。あの巨大な大理石の山からわずか5%としか採れない純白の石を使用した作品。ちなみに、サン・ピエトロ寺院にあるミケランジェロ、20代の作品「ピエタ」もこの石を使用している。
彼女曰く、大作を作るにはなみなみならぬエネルギーが必要で、もはや大きな石に立ち向かってノミを振るう体力も落ち、これからは小さめの作品を中心に彫り続けることになりそうとか。
国内はもとより海外にも多数彼女の作品が公共施設や企業の社屋の中庭や玄関ホールに置かれているのは、彫刻家冥利に尽きるだろう。