190816 いやはやとてつもない木版画家がいたものだ。まあ詳細はこちらを見てもらった方が早い。
いろんな版画やエッチング、リトグラフは見ているが、まったく独創的な作品を数多く残して、ビルケナウ絶滅収容所のガス室に消えた悲劇の天才、サミュエル・メスキータ、セファルディム系のユダヤ人である。弟子の一人、エッシャーが必死に彼の作品を探し保存に奔走したらしい。
初期の作品から晩年まで一堂に並べてあって、その変化がよく分かるが、彼の心象風景のようなものまで読み取れる作品群には圧倒される。やはり動植物より人物の方により興味が惹かれる。→ 作品リスト
それにしても一本の線でも、細くしたり太くすることで、自由自在に陰影を作り出せる技が物凄い迫力を生む。とりわけ驚異の技が見られるのは「キュラソー島の男」(2-53)、「帽子の女」(2-50)、「うつむく女」(2-16)など。
これは晩年の代表作だが、単なる人物描写に飽き足らず、デフォルメして、一見するとなにがなんだかよくわからないものの、全体としてまとまりがあり、不思議な感覚に捉われる。
シマウマというのは、そもそもがすでに彫刻刀を入れたような姿であるだけに、表現は抑えるべきと言う彼の主張には、思わず納得。
これは美術愛好家必見の展覧会!!!